表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/76

無限収納④

そしてナナがベッドの収納を意識すると、あっさりとベッドは消失した。


だが同時に、ベッドが占有していた空間が真空となる。


――直後、周囲の空気がその真空に流入し、室内を風が吹き荒れ、開いていた窓からも強い風が吹き込んできた。


「きゃっ⁉」


「あぶない‼」


いきなりのことでバランスを崩しそうになったナナの肩を、ニアンがとっさに抱いて支える。


風はすぐに収まった。

幸い、室内にほとんど家具や小物が無かったため、被害はない。


『ふむ。これはいかん。

とっさのことでうっかりしておったわ。

改善せねばならんな。しばし待つがよい』


この事態はアイマーの想定からも漏れていたようだ。

突発的な事態に、失意の底から急浮上してきた彼だったが、素直に失敗を認め、即座に【深淵なる節食】の改修作業に着手する。


彼はこの程度の失敗でくよくよ落ち込んだりはしない。

失敗の挽回策か回避策か、場合によってはもみ消し策を即座に組み立てて実行するのが、デキる社会人の特徴である。


「び、びっくりした。

そっか、急に大きな物を収納しちゃうと、それがあった場所が真空になっちゃうんだね。

金貨ぐらいだとほとんど問題にならないけど、大きい物だと今みたいに影響が出ちゃうみたい」


記憶力に絶対の自信を持つナナは、何かの役に立つかもしれないと、図書館にある役に立ちそうな本を片っ端から読み漁る習性があった。

その中に、大気圧や真空について記載された科学雑誌があったようで、興味はなくとも、今起きた現象をスムーズに理解する助けとなったのであった。


その内容をニアンに共有するために口に出したのだが、そのわずかな時間で、アイマーが進捗を告げて来る。


『……これでよい。

物質を収納する際、対象が占有していた領域を周囲の大気や水、岩などで補填するかどうか選べるようにした。

なに、難しいことは無い。

真空になるのを防ぐかどうかだけ考えながら収納すればよい。

あとは【深淵なる節食】が自動で周囲の状況を判断し、割合の多い物質を多方面から収集して補填することで、真空化を防ぐ。

もし補填する材質を選びたければ、それをイメージすればよい。

逆に、【深淵なる節食】内から物体を取り出すときは、対象が占有することになる領域に元々あったものを代わりに収納する仕様にしてある。

これは元々そのようにしておった。

だが、収納する時の配慮だけが足りておらんかったようだ』


『はやっ! 魔王、すごすぎだよ!』


デキる社会人は褒められることが大好きなのだ。

相変わらず『ドヤァ』と『褒めて褒めて』の感情をたっぷり込めて説明するアイマーに、こちらも相変わらず素直に称賛するナナ。

その結果アイマーは幸せをかみしめ、ナナはその様子にクスッと笑みをこぼす。

相性に恵まれたコンビである。


脳内で瞬時にアイマーと情報交換したナナは、まだ呆然としているニアンに対して、改善版のバケツ収納を披露することにする。


「えっと、今後はこういうことが無いように、気を付けて収納するね。

こんな感じ?」


そう言いながらナナはベッドを取り出して元の場所に出現させ、数秒後にもう一度収納する。

今度は空いた空間を、室内外の空気を少しずつ拝借して埋めたので、先程のような事態にはならなかった。


その様子を見て、しばらく呆然としていたニアンが口を開く。


「……あ、ああ。

すまない、ナナが言っていたことがよく理解できなかったんだが、気を付けて収納すればよさそう、ということで合っているか?」


「うん、今後はちゃんと気を付けるね」


「わかった。

でも、さっきのように突風を起こすこともできるか?

あれはあれで、戦闘時にうまく使えると思うんだ」


「あ、そっか! うん! できるよ!」


「よかった。

これで敵の不意を突いて態勢を崩したり、狙いを外させるというような手段を戦術に取り込めそうだ。

ま、それにしても、魔道具の性能というところもあるが、それを使いこなせるナナは、やっぱりすごいな!」


「うん、ありがとう! 嬉しい!

それにこのバケツも、とっても役に立つ子だね!」


「ああ。旅の荷物の制限も大幅に緩和される。

俺のマジックバックだと、せいぜい見た目の5倍程度の容量だからな。

ナイショだが、あれでも国王に献上できる程の逸品なんだぞ?

……ナナ、そのバケツの性能、決して他の誰にも漏らすんじゃないぞ。

物の出し入れも、できるだけこっそりやるんだ。

周りの目をごまかすために、不自然じゃない大きさの鞄ぐらい、持っておいた方がいいかもしれないな」


「わかった。そうだね、やっかいごとに巻き込まれるのは嫌だもん!

人前では気を付けるね。

もし、その、鞄が手に入ったら、鞄に入れるふりをして収納する、みたいに工夫するね」


ニアンはナナがここに至るまで収納機能を使っていなかった奇跡に感謝し、その存在を隠すためにも、早急にナナ用の鞄を入手することを決めた。


その後ナナとニアンは、テーブルやイスなど、いくつか収納を試したところで実験を終了し、それぞれの作業に戻った。



    ◇




ponの小説を読んでくださってありがとうございます!

読んでいただけるだけでも嬉しくて、とっても励みになっています!


もし少しでも「続きが気になる」とか「面白い」とか思っていただけたら、

この下にある★★★★★を押して、応援してくれると本当に嬉しいです!

ブックマークやいいね、ご感想もお待ちしております。


また、SNSでのご紹介も大歓迎です!

よろしくお願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ