第5話
道中、変わらず木の実など採取しながらも、木になった果実があったので、槍を使って取りつつ、ガサガサと森の奥へ奥へと進んでいく。
昨日とは打って変わって道具が増えたことでゴーレムの採取能力もあがったような気がする。
探索のウキウキですっかり頭から抜けていたが、念の為、急な襲撃に備えて1体のゴーレムには弓矢を持たせて警戒させている。
「良い感じに美味しそうなのが幾つか集まったな!あとで小動物も狩って帰りたいけどいるかな〜」
「ん?崖だ…凄い高いな!さすがにこれ登って進むのは無理だな…崖に沿って進んでみよう!」
そうしてしばらくすると、人が余裕を持って通れるほどの洞窟が見えてきた。
中は真っ暗で外からでは様子を伺うことができず、入り口には人の手が入っているようには見えない。
「おぉ!冒険といえば洞窟だな〜でも流石に真っ暗すぎる…。」
するとゴーレムが周辺の木から松明になる素材を集めてきてくれた。洞窟からも火打ち石が採れたので、早速火をつけて洞窟へ入ってみた。
ある程度いくと行き止まりになっており、中はそこまで深い訳ではないが、鉱脈があるようで、ゴーレム達が淡々と鉱石を集めてくれた。
「雨風凌げそうだし、こういうとこを寝床にしても良いかもしれないな!獣が入ってきたら逃げ場はないけど…。」
グルルルル…
「嘘だろ…」
洞窟の入り口には、まるで聞いていたかのように、狼のような獣が10匹程も待ち構えていた。
灰色の毛並みをしたその獣達は、口から涎を垂らしながら、こちらを舐め回すように威嚇している。
(さっきも言ったように逃げ場はない…振りかぶるほどの高さはないから木剣では戦えないな…)
「ゴーレム!1体は近付いてきたやつを槍で倒してくれ!もう1体は俺と共に弓矢で牽制しつつ倒していこう!」
とはいえ俺とゴーレムの矢の数には限りがある、そうそう無駄撃ちはできそうにない…。
まずゴーレムが先手をつくように狼の集団に向かって矢を放ち、いきなり1匹を仕留めることに成功した。
俺もそれに習って矢を放つも、狼達の足下に飛んでいった、走り出していた狼の足止めにはなったため、続けて数本飛ばしていく。
足を止めた狼もいれば、関係ないとばかりに襲いかかってくる勇み足の狼もいたので、槍のゴーレムによって倒されていく。
たまに槍すらも掻い潜ってくる狼がいたが、既の所で装備していた石のナイフで撃退していく。
そうこうしている内に襲ってきた狼全てを仕留めることができた。
「ふぅ〜…ちょっと危なかったけど、なんとかなったな…入り口がひとつしか無い分、戦いやすかったな…逃げ道のことは考えるとして、本格的にここを拠点にしても良いかもしれないな。」
「となると今朝覚えた能力も使ってすぐに行動するか!」
そう、今朝2体目を作り出した時にわかった2つの能力だが、このクリエイトゴーレムは、現状動いている人型のシンプルなゴーレムを作り出すだけでなく、
『他の能力に特化したタイプのゴーレム』を作り出すことができたり、
『何かの素材を媒体にすることで力を消費することを抑えるで作り出す』ことができることがわかった。
滅茶苦茶な発想ではあるが
「洞窟の岩壁を媒体にして、小屋型のゴーレムを作り出せるのでは…?」
つまり、岩壁を素材にすることで、掘る手間も省け、尚且つ小屋ゴーレムとして住むことも可能、そもそもがゴーレムなので敵がよほど敵が近付いてくることがあれば、警鐘を鳴らすことも、なんなら腕をつけておけば戦うことも可能かもしれない。
「…そんな都合よくいくかわからないけど、試してみる価値はありだな…クリエイトゴーレム!!」
そんな都合の良いことができてしまった。そしてこのゴーレムを作り出したことにより、スキルの力が上がったような気もしている。
「おいおい…このスキル、最強かもしれないな…」
力不足なのか、あまり大きな物はできなかったが、洞窟の中に人が一人住むくらいの小屋ができた。小屋ができた分だけ周りも削れ、空間が拡張されている。
「凄いな…ひとまず1体のゴーレムには泉に置いていた素材を持ってこれるだけ持ってきてくれ!もう1体はこの辺りを掘って鉱石を集めつつ、新たに逃げ道として出入り口の確保を作ってみてほしい」
ゴーレム達にそう指示を出し、自分は鉱石を加工できるように作業場を作っていくことにした。