第1話
※お読みになっていただきありがとうございます。
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「……グッ…ックショイ!!…んあ?」
太陽がまだ昇り始めて間も無いであろう頃、風に揺れる雑草に鼻をくすぐられた俺は、見覚えのない平原で目覚めた。
見渡す限りの雄大な自然。少し離れた場所には鬱蒼とした大森林が広がっている。
「…あれ?…ここは何処だ?」
何故こんな所で寝ていたんだ…。
「うーん…何してたんだっけ…?」
ん?待てよ?
「そもそも俺は誰なんだろう…?」
何故ここで寝ていたのかも分からないが、それは元より自分の名前や、今より前の出来事も何一つ思い出せない。
「これはもしかして…記憶喪失なのか…?」
周りを見渡しても人も居なければ動物もいない。草花や虫だけが、この広い草原に点在していた。
「周りも荒れてる痕跡とかもないし、服の感じから襲われたって訳でも無さそうだなぁ…不味い…こういう時にどうすれば良いのか分からないな…。」
先ずは持ち物を確認するか…。
「ん?」
長袖長ズボンに皮のブーツ、何処にでもいそうな格好だな。持ち物はポケットに入っていた、装飾のないシンプルな指輪・・だけ。それ以外は食料も何も持っていない。
「この指輪はなんだろ…?ポケットに入ってたし、俺の物っぽいけど…とりあえずつけてみるか。」
取り出した指輪を指に嵌めてみようとするも、
「なんだこれ…小さくて小指にしか着けられそうにないな…本当に俺の指輪なのか?」
などと疑問を感じながら小指に嵌めた途端、
「ッ…!?」
突然指輪が光り輝き、頭の中に情報が流れ込んできた。
理由は分からないものの、この指輪は自分にとって大事な物なんだという確信が脳裏に浮かんできた。
そしてもうひとつ、俺にはスキルがあるということが分かった。
「…もう終わりかな?びっくりした…なんだったんだ今のは…。まぁ、少なくとも俺にとって大事な指輪みたいだし、このまま着けとくか…。」
結局それ以外のことは何も分かっていないが、出来る事は少ない、スキルの確認でもしよう。
さっきの情報で分かったスキルは『クリエイトゴーレム』
きっと文字通りゴーレムを作り出せるんだろう。俺に合った能力かもしれないな。試してみるか…。
「………どうやって使うんだ?念じてみるとか?」
心の中で(クリエイトゴーレム…!!)とイメージしてみる。
「……何も起きないな。詠唱してみるか、クリエイトゴーレム!!うーむ、変化なしか…どうやったら発動するんだ…?」
その後もスキルの使い方が分からず、試行錯誤を繰り返しているうちに、太陽が真上を過ぎていく程の時間が経っていた。
「…全然分からん、しかしお腹が減ってきたな…スキルのことは一度置いといて、人と食糧を探しに行こうか…しかし、この辺りは本当に何もない平原って感じだなぁ、まずは食糧の確保と、ついでに街とか見つけたいな…あの森林になら食糧あるかもしれないけど、深く入ると危なそうだな…うーん、ここでダラダラしてても仕方がないか…行ってみよう。」
一先ず、この平原の先にある大森林を目指して歩き始めた。
「食べられそうな木の実とか、すぐ見つかれば良いんだけどなぁ~喉の渇きを癒す為にも、川とかも見つけたいなぁ…。」
そしてそう時間はかからず、森林へ到達した。