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「よしっいくよ、せーのっ」
「「闇よ、その刃で敵を切り裂け ダークカッター」」
二人でかなりの魔力を込めた闇の刃を放つ
不運なことに一番近くで肉を食べていたホブゴブリン2匹は、いきなり飛んできた刃に対応できずに体を両断された。刃はホブゴブリンを切り裂いて尚進んでいったが、威力が減衰してしまったようで、2匹目のゴブリンに浅い傷をつけるに留まった。
「それじゃあアイ、ゴー!」
アイは勢い良く部屋の天井まで飛んでいくと、魔法を乱射し始めた。最初はホブゴブリン達も動揺していて、切り傷をいくつもつけられていたが、次第に慣れてきて避け始める。
「マスター!」
「わかってる。闇よ、貫け ダークニードル」
完全にアイに意識を向けている奴の頭に針を飛ばす。こちらの事を本気で忘れていたようで、綺麗に頭に当たり、絶命する。
「やっぱり一発当てたらこっちに意識を向けてきた。」
ほとんどのホブゴブリン達の思考はとても単純だった。それは、攻撃してきた敵に対して反撃する。それだけだった。
だとしても持ってる棍棒投げちゃ不味いでしょ…仲間に当たってるし。
ただ鎧をつけたホブゴブリンだけは違った。最初こそテルに気づいていなかったが奴らは、今もちゃんとテルに攻撃しながら、アイの攻撃を警戒している。
「ふつうのホブゴブリンだけ先に倒して!」
「わかりました。」
そうして二人で役割を交換しながらホブゴブリン達を倒していき、2匹の鎧を着たホブゴブリンだけが残った。
「アイ!降りてきて。」
「良いんですか?」
正直切られそうで恐い。狼に比べればあまり速くないから避けれているが、2匹同時に来ているため、そろそろ切られてもおかしくない。
「闇よ、その刃で敵を切り裂け ダークカッター」
アイが敵の後ろからこうげきをした。
しかし、やはり警戒されていたからか避けられてしまう。
「アイ、1匹受け持って。」
「はい。」
そう言うとアイは、勢い良く敵に飛んでいくと、その勢いのままに突進した。
「なんてゴリ押しを…」
ま、まぁいいか。余裕があるうちに準備を進めよう。
そう心のなかで呟くと、ホブ達の死体に近づいていった。
「よし、準備オッケーだよ!」
「こちらも大丈夫です!」
「【血液操作】いけ!」
自分の血よりも操作に魔力が必要だが、ホブ達の血を操作する。
何故わざわざそんなことをするのかというと、
「面での攻撃なら避けられないでしょ!」
大量の血を使った赤いナイフでの面制圧のためだ。
アイに立ち位置を調整してもらって一列に並んだホブ達は、頑張って範囲から逃れようとしたが、先に上に逃げていたアイに壁をつくって妨害され、身体中にナイフが刺さってしまった。
「弱ってる、チャンスだね、ラストいくよ。」
「「闇よ、その刃で敵を切り裂け ダークカッター」」
身体中にナイフが刺さってうまく動かせなくなっているホブ達の首を闇の刃が切り飛ばし、この戦いは終結した。