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ゴブリンの身長は僕よりも低い。だいたい1メートルくらいだ。でもこの扉は人が通りやすそうな大きさだからこんな扉はゴブリンには使いにくいと思うんだけど…
「何かゴブリン以外のやつがいるのかな…」
人だったらやだな、この先自称魔王と戦わなきゃいけないんだろうけど戦いたくない。
「よし、開けるよ。」
そう言いながら慎重に扉わ開けると、そこには無数の服が乱雑に置かれていた。
「ん?なにここ、ってくっさ!」
「どうやら血と汗で汚れているみたいですね。」
「ここはゴブリンたちの服を置く場所、なのかな?」
「可能性はありますけど、こんな臭い服着ます?」
違うか、じゃあこれは一体なんなんだろう?
そんなことを考えていると、アイが、
「この中にマスターが着れる服があればよかったのですが流石に無理そうですし移動しませんか?。」
と言った。まぁそうだよね。こんな格好僕も嫌だもん。どんな格好かというと、着ていた制服の腹と背中の部分は大きい穴があり、左の袖はもうなくなっている。端的にいってボロボロだ。
「うん。移動しよっか。」
脇道からもとの道に戻ろうとすると、遠くから足音が近づいてきた。
「何か来てるみたい。すぐに隠れて魔法使えるように準備しよう。」
二人で警戒しながら足音を待つと、目の前を成人男性と同じくらいに大きいゴブリンが通った。
裸の。
「「!?」」
ヤバイヤバイ緑色だけど裸のおっさんにしか見えない。アイもめっちゃビックリしてるし教育によろしくない。あんなものは存在ごと記憶から抹消しよう。
「アイ、僕があいつを倒すから反対を警戒しといて。」
「気をつけてください。」
脇道からこっそりとでると、後ろから本気の魔法を放つ。
「闇よ、その刃で敵を切り裂け ダークカッター」
目の前のゴブリンめがけて不意打ちの闇の黒い刃を飛ばそうとするが、流石に声が聞こえてしまうから飛ばす前に気付かれ、まだ魔法が安定していないため胴体真っ二つを狙った刃は、脇腹を深く切る程度だった。
「やっぱだめか、って速い!?」
ゴブリンの動きがめちゃくちゃ速い。これまでのやつは子供同然の遅さだったのに対し、普通の大人と同じくらいには速いようだ。
「闇よ、阻め ダークウォール」
僕に相手が近づけないに魔法で壁を作る。
「ギッ!」
「え?」
壁にゴブリンがぶつかり、倒れる。なんで?
「えーっと。闇よ、貫け ダークニードル」
「ギィッ」
針を飛ばして頭を貫くと、動かなくなった。おそらくどんな魔物も脳を貫かれると死ぬのだろう。
「…ゴブリンってやっぱり頭悪いのかな。」
そんなことをつぶやくテルなのであった。
テルの着ている服を制服にしました。