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…
「さて、そこそこ進んだわけだけど、あんまりいないね。」
巣に侵入して十分。森のなかに比べればいるのだが、たまに見張りっぽいやつがいる程度である。
「今まで脇道も全部見ましたが何かの腐った肉くらいしかありませんでしたね。」
このゴブリンの巣はテルがギリギリたったまま通れるくらいの高さの大きな一本の道の所々に脇道、そして大きな道の終端に、階段があるだけであり、既に地下三階まで降りてきている。
「臭くてあんまり近づかなかったけどあれってもとはなんだったんだろうね?」
「私にもよくわかりません。」
「だよね~。っとまたゴブリン見つけた。」
よく見ると遠くにゴブリンがいた。これまでのゴブリンと同じでただ座っているだけだ。
「じゃあよろしくね。」
「はい。風よ、その刃で敵を切り裂け ウインドカッター」
名前の通り風の刃が手のひらから飛び出し、ゴブリンの首を切り落とした。
「なんというか、同じことの繰り返しで手ごたえが無いね。」
そう。さっきから同じことしかしてないのだ。
二人で何度も交代しながら遠距離攻撃で倒す。
その繰り返しだ。
「とりあえず延々これが続くようだったら地下六階に繋がる階段を確認できたら帰ろう。流石にメンタルにくる。」
「わかりました。」
二人はそう言ってまた歩きだした。
「ここってダンジョンの反応は無いんだよね?」
「そうですね。この場所はダンジョンでは無いです。ダンジョンは基本的に亜空間なので。しかしゴブリンがこんなに綺麗な階段をつくれるのか?という疑問もありますが。」
まぁ確かに。ゴブリンって歩いてるか寝てるかウサギ捕まえて下品に笑ってるとこくらいしか見たこと無いし。
「あ、階段ですよ。」
「あ、ほんとだ。これで地下四階だね。」
「気合いを入れ直して行きましょう!」
「張り切ってるね…」
僕にそんな元気はないよ。
テンション差が激しい二人は地下四階への階段を歩き始めた。
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地下四階
入ると、このフロアは雰囲気が違った。
正しく説明するなら、これまでのフロアはごつごつした壁も床もごつごつした岩だったが、このフロアは全面が綺麗に加工されていた。更に道の幅も高さも大きく、おそらく横六メートル、縦三メートル程はあるだろう。
「いきなり変わった。流石に妖しいね。」
「そうですね。警戒しながら進みましょう。」
二人で慎重に進んでいくと、脇道があった。
曲がっていくと、これまでこの世界に来てから一度も見なかったものがあった。
「扉だ…」
そこには扉があった。しかしこの場にあるには違和感がある。
なぜ違和感があるかというとその扉は人が通るにはちょうどいい大きさだったからだ。