五月の女王
さあ女王様のお通りよ、みんな分厚い外套なんか脱ぎ捨てなさい。
花冠で着飾って、女王様をお迎えするのよ。
清らかな白いドレスを纏った女王様、侍女やお小姓、家来を引き連れやって来る。
冬の寒さはもうお仕舞い。これからはお日様と緑と花がお友だち。
ご覧、野の花が女王様に早速ご挨拶。みんな並んで倣いなさい。
桃色、紫、青、赤、黄色、花々が女王様を彩って、あっという間に満艦飾。
女王様が合図をすれば、蛙がひょこひょこ跳ね回り、小鳥がくるりと身を翻す。
ついでに蝶々や蜂も宙を舞う。
春はお祭り。命の復活。鮮やかな花々と新緑の香りが体を満たす。
五月の女王は花を咲かせて、いずれは実りを迎えるの。
ジャガイモの花はまだだけど、春の女王の名を持つわたしを称えなさい。
黄金を散りばめた日差しがやがて大地に黄金を生む。
さあ恵みを求めて、歩みましょう。笑って歌って踊りましょう。