表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

守るか攻めるか

なんと、人生初めて告白されるという経験をした。


でも、相手はまさかの蓮。


予想外だったし、全く恋愛的感情は無かったから、すっぱり断った。


蓮とはこれまで通り、仲の良い幼馴染としていたいから。


だけどやっぱり、蓮と会うのは気まずいかもしれない。



「琴葉~?今日、図書館いく?」


千春はいつも通り誘ってくる。


海と千春も、こんな気持ちだったのかな…?


そう思うと、あの後も何も変わらずに、元水泳部のイツメンとして図書室で顔を合わせている二人を、少しだけ尊敬した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そういえば、みんなは志望校って決めた?」


図書室では比較的黙って真面目に勉強している海が、珍しく話題を振ってきた。


「そう聞いてくるってことは、決まってるんだ。海は頭いいもんね~」


いいなー、と秋実がくちびるを前に突き出して、不満そうにした。


「秋実、まだ決まってないん?!もう11月になるよ?!」


「え?もうみんな決まってるの??」


決まってる人ーと秋実が言うと、7人の中で手を挙げたのは海、蓮、千春、亜美だけ。


「よかった~。琴葉と拓もまだなんだね」


「まじで?!お前ら推薦受けないの?!」


そう。評定がある程度良い人は、みんなが受ける一般入試の前に、推薦入試がある。驚くことに、推薦入試の本番まで3か月しかないらしい。塾に言われて気づいた。


「受けようと思ってるんだけど、2つから絞り切れなくて」


「えー、初耳。どことどこ?」


亜美が私の方を向いて、食いついてくる。



「…大平高校と第三高校」


「え、ほんとに?」


秋実が予想外、というように目を見開く。


「要するに、守るか攻めるかってことね」


ふむふむ、という風に亜美がうなずく。


「ちなみに、私の志望校は第三高校よ」


「攻める方に決めたんだ…すご」


たしか、私と亜美は同じくらいの成績だったはず。


学力も倍率も高いナンバースクールに決めたのは、素直に尊敬する。



「ほら、私は発表しちゃったんだから、他の3人も教えなさいよ」


「お前が勝手に発表したんだろ…。オレは第一。どうせ海もおなじだろ?」


「ああ。もちろん推薦で行く」


「私は頭良くないから…。水泳の成績使って私立の推薦狙い」


「ここの人たち、頭良すぎぃ。ナンバースクール志望、多すぎでしょ」


心から秋実に同意したい。ここにいる7人中3人がトップ高ねらい、ということである。



「そういえば、拓は?」


亜美が視線を向けると、拓は今まで見たことがないほど無表情で答えた。


「まだ何も」


なんか触れちゃいけないところに触れてしまったようだ。少し空気が凍った気がした。


「なんかゴメン…」


亜美もその空気を察したようで、話題を終わらせるように勉強し始めた。


少し気がかりではあるが、私も受験生としてノートを開いた。

~設定メモ~

ナンバースクール…第一高校のように、高校名に数字が入っているもの。学力も倍率も高いトップ高。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ