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エピソード2
電車を降り、改札を抜け、駅を出た。
隣には雨宮が。
高校は駅から5分で着く。
5分とはいえ、雨宮と一緒に歩くのは不安だ。
だが幸いにも朝の早い時間なだけあって人通りは少ない。
人目をそこまで気にしなくても大丈夫そうだ。
ちなみに俺の手に何回か雨宮の手が当たったが無視だ、無視。
そんなことを考えていると雨宮が口を開いた。
「先生、遠回りしようよー」
「何でだよ」
「だって、先生ともっと一緒にいたいもん」
「じゃあ却下だ」
「えー」
見せつけるように拗ねた顔をする。
それを俺は見なかったことにして前を向く。
校舎が見えてきた。
校門を通り、校舎までまっすぐ歩く。
すると雨宮がため息をついた。
「もうお別れかー」
そう言って立ち止まる。
俺は気にせず校舎に入り、下駄箱で靴を履き替える。
「ちょっと待ってよ先生」
慌てて校舎に入る。
職員室に行こうと思ったが少し待ってやることにする。
履き終えた雨宮と顔を合わす。
「ごめん、待った?」
「デートの待ち合わせみたいに言うな、じゃあ行くからな」
「うん、分かった」
その残念そうな顔やめろ。
「先生じゃあね!」
俺は職員室に、雨宮は教室に向かった。