エピソード1
俺は今始発の電車に乗り、学校へ向かっている。
教師の朝は早い。
4月からこういう生活になり、1ヶ月ほどが経った。
最初の頃は駅に着くまで少しでも寝ていたいと座っていたが、今は違う。
座席はほとんど空いているが座らず、それを背もたれにして立っていた。
ただ1つ気になることが。
それは、隣に1人の女子高生が立っていること。
座席に座ってるのは2人ほどで、ほとんど空いているにも関わらずなぜか俺の隣にいる。
それにどうやら少しずつ俺に近づいてきてる。
さっきまで多少の距離感はあったはずだが、今ではなぜか体温が感じられるほどに密着している。
そこをどこうと試みるが、それを察したのか、女子高生の手が僕の腕を掴む。
「離してくれないか、雨宮」
そう言うと彼女は俺の腕に抱きついてきた。
彼女は雨宮詩音。俺が担任するクラスの生徒だ。
「嫌だよーだ!」
彼女はさらに俺の腕を強く抱きしめる。
しっかりと胸の存在が感じられるほどに。
人よりも胸が大きいという自覚はあるのだろうか。
彼女はおそらく全く気にしていない。むしろ俺の方が気にしている。
「先生、今私の胸見てたでしょー」
その一言に近くの席に座っていたスーツ姿の男性が眠そうな目をこちらに向けた。
「お前声が大きいって、あと見てない」
「えー絶対見てたってー、別にいいんだよ、先生ならいっぱい見せてあげる!」
そう言いながらシャツの1番上のボタンを外し始める。
さっきまで眠そうだったサラリーマンはギンギンの目で彼女の胸を見ていた。
「バッ、お前やめろよ!」
「分かってるよ、さすがに私でもこんなとこで脱がないって、だから続きは家でね!」
「続かせてたまるか」
「私は好きだよ、先生の変態なところもねー」
彼女はニヤニヤとこっちを見てくる。
「俺は変態じゃない」
俺は軽く空手チョップをくらわせる。
「いったー、暴力だよこれー、いや違う、私たち付き合ってるからこれはDVか」
納得したようにうなずいていた。
「もちろん付き合ってないからDVじゃない、これは暴力だ、、、あ、いや暴力でもないわ!」
彼女に鎌をかけたつもりはなさそうだが、俺はセルフで誘導されたみたいだ。
そうこうしてるうちに俺たちが降りる駅に着いた。