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十に一

作者: 恨和 表

都県境の公園でありふれ空間にほころびが生じていく。概念の限界はどこまで・・・。

◇十人に一人◇

 

                              恨和 表

 都にしては緑も多いし、畑もある通称風致地区。

 もうしばらくで地図上から消えるという過疎県に並べると面積十分の一以下、密集度は十倍、否百倍以上になるだろう。

 といっても多ければいいとはならず。隣接区は一日あたり最高乗降数を誇る駅をもつが 十年後、消滅するという警告を受けていた。余地があれば発展の可能性もあるし、僻地と都会、逆転の可能性もあり。


 地域や境界線には入り組んだ事情がありがちで。

「とてもいいところ、平和で豊か」感を現在仕切ってる行政や業界が出すものの隣接域とは内乱を起こし、独立した経緯があった。多数決というのは面白いもの。当時、議会ではなかなかあれこれ認められなかったからこそ内ゲバが発生したわけだが、今や親区を凌ぐ規模になったので更に争いが起これば今度はしっぺ返しを受ける、ないし逆襲できる。

 元が一緒のため、加害と被害、どっちを主にするか、不明。両者並立並列ならまだしもこれが県都に跨れば不動産価格やら体裁やらとてつもない開きが出るため、飛び地、境界線の入り混みが生じて当然。

 戦国時代じゃあるまいし、と思われるけれど幾度も繰り返された地名変遷を見れば、昔から火種はあったのだろう。

 

 区画争いはともかく公園は平穏無事風景。いくらいても費用は一切かからず。

 金がかからないのは当たり前かというと。既にそうでないところもあり。仕切りによっては公園が開いたり、閉まったり、入場料も取るというのだから。

 考えられない未来が今、実現してる。


 内なる個人的近未来予想としては、高血圧、高血糖、尿酸。倒れたり、入院したり。

 対策すべく高鉄棒、腕立て伏せ数十回、腹筋は限界まで。抗戦常態。欲と数値。 

 境界争いは土地に限らない。


 とはいえ。個にしろ集団にしろ、維持発展争奪ばかりでなく。

 「自滅派」もいるという。


◇十人に一人は依存症◇

  ◇十人に一人は狂ってる

  ◇住人に一人は住民エゴ    

  ◇十人に一人は獣人    

  ◇十人に一人は宗教、思想にハマる    

  ◇十人に一人はアウトロー、犯罪関係、被害者加害者家族

  ◇十人に一人は困窮、難病

  ◇十人に一人は異常性欲者

    

  ◇十人に一人は十人じゃない。

  

  因果律。原因結果なし。

  欲望、感情、理性に理由は。


・・・「ナマズが地震を起こしてると思われてた頃とは違う。活断層、海溝の上が被害でかくて、川だったところが亀裂、地割れできるのがわかってる。なのにわざわざ震源真上に住んじゃう奴らが結構いるわけだ。被害を減らす、危険警告すべきマスコミ自体が湾岸に構えてるしな。最初から放射性廃棄物の処理策も汚染水の捨て場所もないのに核燃量に頼ったり、使えない高速増殖炉作ったり。税収が足りない、財政破綻だっていうのに、経済のみならず国を放射能だらけにして滅亡させようってんだから」。

てな話は誰かがしてた。あるいはラジオだったか、ネットだったか。

 自然災害、公害、人災、個人技、洗脳・・・合わせれば一割はマイナス方面を目指すのか。

 「自分の子供殺したり、刑務所に入りたがったり、肝臓壊れるのわかってて酒飲みまくり、アル中、シャブ中あふれまくり」。

 利、理、裏。

 

 ◇獣人◇

 「十人に一人は理性なし獣だ。どころか動物より劣った奴はいくらでもいる」。

 LGBTがもてはやされ。批難しようものなら袋叩きになるご時世。

 「異常性欲が認められたらロリコン、獣姦おかまいなし、ペットや機械と結婚させろって奴が出てくる」と発言した議員は辞職に追い込まれた。

 この人、元は「乱交から性病が蔓延する、同性愛がエイズの要因、民族破滅の元凶」という民族派の運動をしていたのだが、メディアは一切、性病、少子化対策に関する彼の活動には一切触れずじまい。

 

 ・・・といったあれこれに善悪を言う資格がない自分。同性、動物とすら、機械ともペットとも。恋愛対象一切なし。「動物とすら」というのは表現違い。ペットも虫も今日まで続いてる種は相手がいるわけだから。ゴキブリ以下、植物人間、雌雄同体、ミミズ未満。

 なのに「少数性欲」「マイノリティー」に同情せよ、白眼視するな、と要求されるのはどんな罰やら。素直に乗ったらバツ悪い。

 無差別攻撃は自分の首を絞める。大抵の誹謗は自分にこそ返って来る中傷。

 「性的マイノリティー前提」は欲の川を女と男で愛し合ってる層を上流、同性愛を河口に流しがち。

 けれど実際はさらに其の下、「仮想下層」にさえ届かない「最下層」がいるわけで。

 ヘドロ海は欲河川にさえ届かない。飲めないどころか。生活用水にも使えない。

 ならば今まで「上」に向けられてきた全エネルギーはもし「性欲差別、劣等がいけない、どうにか埋め合わせろ」というなら「最下層」にこそ向けられるべきだろうに。

 現実は一切無視、切り捨てられてる、いわばLGBTアウトカースト。

 「性的マイノリティー」にならえば「性欲抹殺民」。

 

 「否定より無視が厳しい」。とは古今東西定型句として響く。

 

 十人に一人は結婚しない、できない。あるのにない、性欲下層階級。


 ◇住人は十人とも◇

  しわがれ声を掛けられたのは体幹が鍛えられるという片足立ちをしていた時。

 「ワシもやってるんじゃが。目をつぶると十秒が難しいな」。

  多分90は超えてるだろうに杖も使わないこの人物。

 「十人に一人」を並べたてたのはこの人の口癖。

 主観で疑問をもったり、自分の意思で他を叩くようになったのは「十一」きっかけだったかもしれない。もしかするとかつては「税金が高い」とか「うまいものが食いたい」とか、動物に毛が生えたような感覚しかなかったような気もする。

 「十一仙人」は歩いたり、ジョギングしたり、いつも軽い運動やらしてるが、誰かに語るでなく、独り言かのようにぼそりぼそり。

 「十人に一人は戦い」

 「十人に一人は謎」

 「十人に一人は異次元」

 

「戦争中は今ほど自殺も発狂もなかったらしい。敵が外にいたから。平和になると国内に敵を見つけるようになった。互いに互いをつぶし合って発散。受験地獄やら過当競争が起こって結果、百人に数人が脳みそパンク。分裂病。呼称が統合失調症に変わったころ、少子化になって受験競争が収まった。すると今度は鬱病蔓延。近所、職場、百人に十人が変調を来すのが平和蔓延の現代」。


 全部覚えてないが、「十人に一人」が十以上ある模様。

 どうして「十一」なのか。仙人論によれば。

「指が十本あるからやっぱ一割、十に一つってのが多いんだよ。ロシアは日本の国力十倍だったのに日露戦争ではこっちが勝ったし。振り込め詐欺に引っかかるのも、結婚詐欺に騙されるのも、アル中から復帰するのも、前科者が立ち直るのも十人に一人。昔は学生運動や過激派に入るのも大体、一割だったな」。

「ロシア」に話を合わせてみると。教師の組合加入率は九割越えだったという。がソ連が亡くなって一割に減ったというので。どんぴしゃり「十一」がはまってる。

 生徒思いの教師が一割。ロリコンだから子供が沢山いる職場を選んだ、あるいは破廉恥理由が一割。元は日本の将来を考え、有為な人材育成を目指してたものの、保身、出世に転向。生徒なんぞ単なる自分が生活するための駒、としか思わなくなったのが一割。元から「あくまで仕事」がやはり一割位だろう。

 とするとやはり公園仙人説は合ってるのだろうか。

 あるいは他分野も「十一キーワード」から考えてみると。

 分別しない、騒ぐ、掟、慣習お構いなし。どの町内にも地域にもはぐれ者はいる。分別がない。刑務所から出てから社会復帰を果たすのは一割という。

 

 犯罪に関われば、家族がいた場合、大抵、そこには住んでいられなくなる。

 加害者は無論、被害者でも。血縁同士、家族内での事件ならWパンチ。

 ただし、加害者と被害者が共に同じ屋根の下で自給自足になってしまうのと同様、白眼視する側も一族郎党聖人君子だらけ、はありえないので。叩けば埃が出る。五代十代遡って無事、はありえないので実は嫌がらせの電話をかけまくったり、それまでの付き合いを一切しなくなったり、村八分、犯罪者呼ばわりしてるそいつ自体、その血統こそ差別排除される前科前歴もち。ならば「犯罪者家系」は一割じゃ収まらない。「前科なし一門」「清廉潔白家系図」が「十一」もあるはずなし。

 

 「自分の該当属性以外認められない、差別偏見が根っから好きで死ぬまで治らない」のはやはり十一だろうか。

 仙人説だと。

 「ヘイトスピーチをやってる連中がいるだろう。

『在日は出てけ、自分の国へ帰れ』だの。

 あれは自分で自分を帰したいんだな。

 犯罪者家族香華区同様、差別も自給自足。

 日本人はロシアから来た縄文と朝鮮渡来の弥生の混血。

 「あいの子」と言えば差別用語、公に使ってはいけないとされるそうだが。

 実はしゃべり手もその対象もほとんどが「あいのこ」だ。

 純粋縄文、弥生はまず残ってないんだから。

 『日本から出てけ』絶叫連中。

 己を自分でかえしたい。

 現状固定、このままがいい、と思う、志向する人間ばかりだと間違いなく破綻する。

 交流、貿易なしで閉鎖すれば生きずまるのは当然。

 過疎地域、もはや百人切り集落が更に外部を隔てれば先は見えるし、国単位でも天下泰平の江戸でさえの鎖国は260年で終焉。

 『常識、合法、守旧』は自壊する。

 異常、非常識がなければ変革、発展、維持さえおぼつかない。

 祭り、変容、トランス。過密、閉塞。パンクするのは十に一。二、三となれば・・・。


 公園を川が流れていた。上流では石器が出たという。

 「十に一つは逆相」

 「十に一つはひとかど」

  つぶては数万年を超えたろうか。

  十に一つは十じゃない。




                        「十人に一人」         了

目をとおしていただいた方、ありがとうございました。

取り合えず読み切りになっていますが。投稿形態、やり方がわからないため、短文でいわば序章のみ。

「テキスト形式なら一気に投稿できる」というのでやってみたところ失敗。

コピー、ベイストするしかなかったので。

続編「百人に一人」に続くつもりなのですが。果たして。

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