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モンスター ベイビーズ  作者: 虎木龍太
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第4話 警視庁 特殊犯罪対策部 五芒星

前話から説明文ばかりになってしまいますが、物語の構成上必要な部分なのでご了承ください。

警視庁 地下10F


狭く薄暗い通路を歩くサラと弥生。

「警視庁の地下にこんな場所があるなんて。」

「国家機密なんだ。わかる場所にあったって意味ないだろ?」

「それは、そうなんですけど。サラくん。あなたは一体何者なんですか?」

「着いたぞ。」

(質問に答えてない。)

眼前に現れたのは、いかにも厳重そうな設備の整った鋼鉄の扉だった。

サラが扉の横にある電子ロックの部分に左手の甲をかざす。

ピピッ ガシャン

電子音の後に鍵が開く音がして扉が開く。

「入るぞ。」

サラに言われ、部屋の中に入る弥生。

部屋の中は大きめな会議室のような作りで。巨大なデスクが1台と椅子が12台、いちばん奥に少し豪華な大きめの椅子が1台ある。

「会議室ですか?」

「戻りました。」

弥生の質問を無視してサラが言う。


「いやー。サラ君。ご苦労様。」


奥の方から声が聞こえた。だが、誰もいないように感じる。

(どこから声がするんだろう?誰もいないような。)

不思議そうに声がした辺りを見つめていると、奥にある椅子が回転する。

「例の者も連れてきました。」

「サラ君?誰に話しかけてるんですか?」

「ここですよ。ここ。」

声がする方に近づいて確認する弥生。

すると、声の主が椅子からデスクの上に飛び乗る。

「!?」

弥生が驚いて固まる。

「君が天堂弥生さんですね?初めまして。」

落ち着いた口調で弥生に話しかけるのは、サラと同じくらいの小さな赤ん坊だった。髪は長めで左右で色が違う。顔はサラに負けず劣らず綺麗な顔をしている。

「どこまで説明しましたか?」

「警視総監が最初の方だけ。」

そう言って、弥生の腕からデスクに移るサラ。

弥生が驚くのも無理はない。今この空間には大人と同じような口調で会話をする赤ん坊が2人もいる。

シュールというか、不思議な光景である。

「私は特殊犯罪対策部 部長。五芒星責任者。「明神時雨みょうじんしぐれ」です。」

「あっ。どうも。初めまして。天堂弥生です。」

(赤ちゃん相手に普通に答えちゃった。なんか、普通に大人と話してるのと変わらない感じ。しかも、この子、目力がすごいと言うか、全てを見透かしてるような感覚が。)

「そう身構えないでください。」

「あ。はい。」

優しく微笑む時雨。

「時雨さんは・・・男の子ですか?女の子ですか?」

弥生の口から出た意味不明な質問にサラも呆れた顔で弥生を見る。

「私は男ですよ。」

そんな質問に優しく返す時雨。

「時雨さん・・・」

サラに促され、時雨が話し始める。

「今回あなたをここに呼んだ理由ですが、未来が視えましてね。」

「未来が視えるって、時雨さんも「ギフト」を?」

「一般の方達にはそう呼ばれているようですが、我々は「異能」と呼んでいます。あなたにもそなわっているものですよ。」

「私の治癒能力が?でも、私の能力は簡単な傷を治すくらいで、そんなに役に立つとは思えないんですが。」

「まだあなたは力の断片を使っているに過ぎません。「異能」というのは誰しもが持っているわけではありませんから、あなたも特別な人間なんですよ。」

「私が・・・特別?」

「この異能というのは人類創造政策を実施して以降、遺伝子交配が可能になった第2世代くらいの子供たちから見られる物です。 その後第3世代以降は、能力の多彩化に伴い「ギフト」と言われるようになったと言われています。遺伝子交配に、進化細胞が組み込まれるようになったのは、この頃からですね。」

「その後、進化細胞の暴走で鬼になる子供が増えてきたって事ですか?」

「そういう事です。初期段階ではそれほど多くなかったのですが、近年その被害が爆発的に多くなっています。国の混乱を避けるために表向きは違う事件に差し替えていますが、かなりの被害が出ていて、警察だけでは対処しきれていないのが現状です。鬼の力には、一般の警察官では太刀打ちできませんからね。」

(確かに、体感したからわかる。あんな怪物相手じゃ、一般人では到底敵わない。)

「政府は子供達が鬼になる事例を隠蔽して秘密裏に処理するため、鬼の力に匹敵する異能力者を選抜して作った集団が私達特殊犯罪対策部という訳です。」

「私達以外にもいるんですか?」

「ええ。全国各地に散らばっていますよ。この関東支部には、私とサラ以外にもう2人います。」

「こうみえてサラは特殊犯罪対策部の捜査員をまとめる責任者なんですよ。」

「こうみえてって、どういう意味ですか。」

ムッとした表情でサラが言う。

「あなたにはしばらくサラに付いてサポートをしてもらいつつ業務を覚えてもらいます。」

「はい。」

「サラもいいですね?」

「俺は1人で充分ですが。」

「まあ、そう言わずに。彼女はこれからの私達にとっても必要な存在になるはずです。それに、言うことを聞かないならわかってますね?」

笑顔だがどこか威圧的な感じで言う時雨。

「・・・わかりました。」

少し引きつった表情で渋々了承するサラ。

(何かされたのかな?)

そう思いながらサラを見ていると。

「そう言う訳だ。俺は龍宮叉羅。くれぐれも。足は引っ張るなよ。」

(生意気ー。)

叉羅の態度に弥生も不安を抱く。

「素直じゃないですね。すいません。悪い子ではないんですが。」

「あっ。はい。大丈夫です。天堂弥生です。これからよろしくお願いします。」

(なんで赤ちゃんに真面目に自己紹介してるんだろう?)

そう感じながらも自己紹介する弥生。もっともである。


「ところで叉羅。今夜仕事です。行けますね?」

「わかりました。」

「仕事って?」

「鬼が出る。行くぞ。」

「えっ?えっ?」

「詳しいことはメールにて詳細を送ってあります。端末で確認してください。」

「了承。おい。付いて来い。」

「えっ?ちょっと、待ってください!」

出口へ向かって行く叉羅に小走りでついて行く弥生。


2人が去った後、1人部屋に残る時雨。

「・・・・」

静かになった部屋で1人考える。

(運命は動き始めた。あの2人なら、まあ、大丈夫でしょう。)



時計の針が動く音のみが聞こえる。


今回から主要人物、時雨が登場しました。まだ活躍する場は先になりますが、楽しみにしていてもらえれば幸いです。

説明ばかりでストーリーが進まなくなってしまってますが、次から徐々に進めていきます。

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