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早川虎之助
李は街の酒店に泊まっていた。
ベッドで横になりながら物思いに耽っていた。
十字架のペンダントを見る。
「お客さま」店の主人が呼ぶ。
「会いたいという人が来ましたよ」と言う。
階下に降りて行くと早川がいた。
「早川」と李が言うと「私は龍之助では無いですよ」と言い、「早川虎之助です」と言った。
「双子ですか」李が聞くと
「はい」「兄を探して日本から広東に行き、あなたを探しに来ました」と言った。
「お尋ね者の韓は良い値段がついてますね」
「賞金稼ぎですか?」
「いや、本当の目的は教会を建てることです。が、そのために資金が必要なので」虎之助は言った。
「キリシタンですか」
「そうです。一緒にやりませんか」虎之助は言った。
「教会を建てるのは良いですけど」李は言った。
「賞金稼ぎは気が進みませんね」と続けた。
「そうですか」虎之助は言った。
「明日マカオに行きます。一緒に行きませんか」
「わかりました。それは御一緒しましょう」李は答えた。
「では寝ますので明日の朝また来ます」と言い、虎之助は店を出た。