捜査
昨日の更新できなくて申し訳ありません。
これからがんばっていきたいです。
結論からいうと、本部での生活は快適そのものだった。信じられないほど柔らかい布団、いつ食べてもあたたかくておいしい食事、大きな浴場にいつもピカピカの部屋など今まで体験したこともないような至上の贅沢にアスランは一抹の罪悪感を感じつつも、一生にそうない経験だろうと割り切って甘受したのだった。
食堂でクロワッサンをかじっていると、後ろから声をかけられた。
「やぁ、おはようアスラン。今朝はよく眠れたかい?」
「えぇ、とても。あんなに上等な布団はなれないので最初は戸惑いましたが」
「それはそうだろうね。魔術的な隠蔽はしてるといってもここはあくまで王宮だからね。文字通り生活レベルは王族級さ」
ハハッと軽く笑いながら、ところでこれからのことなんだけどと切り出される。
「協力という名目上、支度が済んだらすぐに捜査に出るよ。今日は現場を軽く調べながら近隣の人たちに聞き込みを行う。君は現場近くを見て思い出したことがあったらどんな些細なことでも俺に言ってくれ」
わかりました。と返事をした後、こんな生活で働きもしないのはさすがに人間がダメになりそうですしね、とつけくわえる。金髪の美丈夫は口角をあげながら、違いないねと残して去っていった。
思い出したように僕は余っていたクロワッサンを急いで口に放り込み、玄関に向かう。
王都の空はすっきりとした晴天だった。
王宮近くの大通りにはところ狭しと露店が並び、多くの人でにぎわう。
そんな大通りからほんの少し外れた狭い路地。事件はそこで起こっていた。
「被害者は・・・残念ながら特定できなさそうだね。死因は殴打による失血死か頭蓋への強い衝撃による死亡かどちらか」
事件現場には大きな幾何学模様の魔法陣が書かれており、ライオが触れると現場の様子が浮かび上がる。
眼をそむけたくなるような凄惨な遺体に、いうと、本部での生活は快適そのものだった。信じられないほど柔らかい布団、いつ食べてもあたたかくておいしい食事、大きな浴場にいつもピカピカの部屋など今まで体験したこともないような至上の贅沢にアスランは一抹の罪悪感を感じつつも、一生にそうない経験だろうと割り切って甘受したのだった。
食堂でクロワッサンをかじっていると、後ろから声をかけられた。
「やぁ、おはようアスラン。今朝はよく眠れたかい?」
「えぇ、とても。あんなに上等な布団はなれないので最初は戸惑いましたが」
「それはそうだろうね。魔術的な隠蔽はしてるといってもここはあくまで王宮だからね。文字通り生活レベルは王族級さ」
ハハッと軽く笑いながら、ところでこれからのことなんだけどと切り出される。
「協力という名目上、支度が済んだらすぐに捜査に出るよ。今日は現場を軽く調べながら近隣の人たちに聞き込みを行う。君は現場近くを見て思い出したことがあったらどんな些細なことでも俺に言ってくれ。あと護身用に一応何か持っておいたほうがいいからいくつか玄関に置いておくよ、考えておいてくれ」
と残して金髪の美丈夫は去っていった。去っていく背中にわかりました。と返事をした後、少しの間考えてみる。護身用ならやはりナイフとかのほうがいいのかな、けど慣れたものならやっぱりアレだろうなぁ。うーんどうしよう。
思い出したように僕は余っていたクロワッサンを急いで口に放り込み、玄関に向かう。
王都の空はすっきりとした晴天だった。
王宮近くの大通りにはところ狭しと露店が並び、多くの人でにぎわう。
そんな大通りからほんの少し外れた狭い路地。事件はそこで起こっていた。
「被害者は・・・残念ながら特定できなさそうだね。死因は殴打による失血死か頭蓋への強い衝撃による死亡かどちらか」
事件現場には大きな幾何学模様の魔法陣が書かれており、ライオが触れると現場の様子が浮かび上がる。
眼をそむけたくなるような凄惨な遺体に、こみ上げてくる吐き気を必死に抑えながら犠牲になった人に心を痛める。
-自分がもう少し早く来ていればどうなっていただろうか-
いや無理だろう。たとえ犯行中に間に合ったとて、魔法も何も使えない自分では被害者の二の舞だろう。しかしそれでも、もしかしたらとあり得なかった可能性に思いをはせてしまう。
「あんまり思いつめちゃだめだよ。君は僕らとはちがう、ここにはたまたま通り合わせただけで救う手立ても義務もなかったんだ」
じっと死者を見つめる僕を見かねてか、ライオに諭される。しかしその言葉は僕へ向けた慰めではなく、むしろ「救う手立ても理由もあった」のに助けられなかった彼自身を責め立てるものに聞こえた。そんな彼の表情にはいつものヘラヘラとした笑顔はなかった。そこにあるのは、少し目を細め眉間にしわを寄せる悲嘆の表情。そして目には怒りの猛火が轟々と燃えているのだった。
そのあといくつかの聞き込みも終わり、日も傾きかけてきたころ
「んじゃあ、今日のところはこんなものだね。何か思い出したかい?」
「すみません。まだなにも...」
「きにしないきにしない。記憶関係は長丁場だからね。のんびりやっていこうよ」
それじゃあ帰ろうかと言われた時のことだった。
きゃあ、という小さな悲鳴が聞こえる。遠いな、通り二つほど向こうか。隣にいるライオは気づいていないようだ。何も考えずに走り出す。背中から声がするが気にしない。肩にかけた筒から、弓と矢を取り出す。護身用なら近接武器のほうが良いのかもしれないが、いざ使うとなれば一番体にあったものがいい。
矢をつがえながら通りを疾走する。バタバタと物を押しのけながら走ってくる音がする。思っていたより近い、間に合うか?体が熱い急な全力疾走に加えて、被害者の痛ましい姿を見たことで感情が高ぶっているのだろうか。ようやく目的の通りに差し掛かる。足音の方向である左を向き、つがえた矢を構える。
覚えているのは大男がこちらに体当たりしてくる光景だった。