闖入者
「嘘は良くないなぁ、おにーさん」
施錠された扉が勢いよく蹴破られる。
入口にたたずむのは金髪の美丈夫だった。
服装は一見街の優男のようだが、鍛えられた腕や鋼のような体幹はその体は明らかに尋常でないことを物語っていた。
「だっだれだ貴様は‼なぜ勝手に入ってきている」
白服ががなり立てる。
「いっぱしの警官ふぜいが悪即斬なんてできるわけないでしょ どれどれ、」
ゆらっと美丈夫が揺れたと思うと、すでに彼は警官の前に立っていた。
そして白服の胸のバッヂを一瞥すると
「やっぱり聖火だ、ペーペーだね。」
白服の顔が羞恥の色に染まる。
「っ!しかしこいつが事件のカギを握っているのは明白だ。血まみれの第一発見者なぞ怪しいに決まっている。」
はぁ、とあきれたため息を金髪がこぼす。
「推理小説の読みすぎだね。どこの世界に殺した後すぐ通報するバカがいるんだか」
その一言で警官の怒りは頂点に達した。
「貴様ぁ、先ほどから言わせておけば小官を冒涜する言動の数々、それは立派な罪だぞ。実力行使が必要なようだな!」
そういいながら白服は偉丈夫を突き放しながら、右腕を前へ向ける。
しかし、偉丈夫のほうは依然飄々とした態度を取り続ける。
「いやいやいやいや、今それはだめだよって話したとこだよね」
「構わんさ、報告書には容疑者が暴れたため多少の実力行使が必要だった、とでも書けばいい」
「うわー最低だねそりゃ」
警官の右手には幾何学模様の円陣が作り上げられていた。
「牢屋で後悔するがいい」
「少年、少し離れておきな」
慌てて入り口付近にまで下がろうとする少年を尻目に
『雷撃』‼
紫 電 が 走 っ た
聖火ってのは階級の名前です。一番下の階級ですが