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異世界にきたんだが・・・

大罪セブンス七星ギルティア】それは賞金のかかったありとあらゆるゲームで優勝し、膨大な賞金を稼ぐ7人のプロゲーマー集団。メンバー全員があり得ない程の反射神経、操作技術、判断力を持つのは勿論の事、複数のパソコンを同時に使いこなし倍以上人数の離れたプロゲーマーチームを易々蹂躙する。ただの一度の敗北すらした事がない不敗神話を持ち、ゲーマーの間では生きる伝説として多大なる畏怖と尊敬と嫉妬の感情を向けらる悪魔のゲーマー達である。


 その悪魔のゲーマー達には数々の逸話や伝説があり、中でも特に有名なのものはなんと言っても、【終焉邪龍エンドキングドラゴン事件パニック】だろう。


終焉邪龍エンドキングドラゴン】とは有名クリエイターが考えうる全ての理不尽を詰め込んだ事により3年はクリア不可能と言われ、最速クリアPTに10億円の賞金が掛けられたMGOマリアガルドオンラインの超絶難関エンドコンテンツであり、その異例の難易度と賞金額から世界的なニュースとなり全ゲーマーを熱狂の渦に叩き込んだネットゲーム史に残る程のコンテンツでもある。


 しかしそれを悪魔のゲーマ達はたったの2週間でクリアしてしまった。


 全てのプレイヤーが第一関門突破どころかその足掛かりすら見つけれていない現状の中、それを嘲笑うかの様な驚愕の速度でクリアした彼らは、賞金を受け取ると『金を払えばクリアさせてやる』と多額のゲーム内マネーを払えば誰でも寄生クリアをさせるという遊びを初めたのだ。


 その結果我先にクリアしたいと考えた連中が一斉に今まで一緒に戦ってきた仲間やPTを裏切り、その影響で数多くの争いが生まれ、沢山の固定PTやクランが潰れたり、挙句の果ては傷害事件や自殺したりする者なども少なからず出た事からまたも世界的なニュースとなりネットゲーム史に不名誉な形でその名を刻みつけたというものが【終焉邪龍エンドキングドラゴン事件パニック】のあらましである。


 確かに色々な意味で衝撃であり話題性のある事件だが、つい今しがたゲームをしていたら女神により異世界に召喚されるなんてファンタジーな事件に巻き込まれている才斗からしてみればそんな事はどうでもいいはずである。


 では何故今そんな事を語るのか?と言われると。


『って事があって大好きだったギルドのみんなはバラバラになっちゃって女神であるあたしの楽しみは砕け散ってしまったのよ!でもそんなのって腹が立つでしょ?だからあたしは考えたのよ!もっとすごいゲームを作ってもらってそれをあたしの手で現実にある異世界として構築する、そしてあなた達を召喚しちゃえばほら不思議!言葉の通りリアルなゲームの完成!これであたしの失われた楽しみの復活って訳よ!』


 美しい中世を意識した建物が立ち並ぶ幻想的な街並みには、小さい頃に読んだ絵本にでてきた様な服をきた女性や、その服の上から鎧や武器を装備をした冒険者風の大男や、明らかに人間と違う耳をした所謂エルフや獣人と思われる者までが自由に歩き回っている。

 そんなまさにファンタジーといった風景が才斗の前に広がっていた。


 すこし違う点を挙げるならば、そこかしかこに明らかに現代の洋服を着た、この世界の人間から見れば異世界人な者達が空を見上げているところだろう。


 そして彼等が見上げる青くきれいな空にはいくつもの巨大モニターが浮いており、先程才斗をこのファンタジーな世界にチートを与えず召喚した女神がでかでかと映し出され名案でしょ?といわんばかりに力説している。

 しかも丁寧に運営コメントの様に青い空に蛍光色なピンク色でログを残す配慮付きだ。


『んでそこから先はあんた達に白い部屋で説明した通りよ。あんた達はこの女神のつくった【迷宮都市セントマリア】を拠点として女神の塔のダンジョンを攻略してもらうわ。各自さっき引いたSSRのスキルとか自分のジョブの能力とかを使ってがんばってちょうだい!あーちなみにMGOの上位プレイヤーには特別に更なるートをあげてるんだけど【大罪セブンス七星ギルティア】のプライドって奴には女神の権限で特別にチートももあげていないどころかバットステータスを付与しておいたわ!見かけたら是非わらってあげなさい!それじゃごほんごほん。あなた方に女神の祝福があらん事を』


 そういってプチューンとテレビの電源を落としたようにモニターの映像が消え、そのモニターやログまでもが消えて元のきれいな青空に戻る。


 少しの静寂の後、空を見上げていた者達は一斉に大声を上げ始め町全体は大パニックになった。


「なんだこりゃ!?夢じゃないのか!?嘘だろ!?」

「何を言ってるの!?こんなリアルな夢なんてあるわけないじゃない!いやあああああああ!」

「ママアァァァァどこおおおおお!?お家に帰りたいよおおおおお!」


 そして抜け殻になっていた才斗は街のいたるところから聞こえる悲鳴や絶叫でようやく意識を取り戻した。


(待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待ってくれえええええええ!え?マジ?マジで言ってる?マジなの?マジかよ?マジじゃねーか!?オレの中二病がこじらせた夢とかなら冷めてくれえええ!冷めないっすよね~ですよね~・・・こういう時は深呼吸で落ち着いて状況把握だ!ひーふーひーふーひーふー・・・・・)


 妊婦の人がする深呼吸で一応の落ち着きを取り戻しペタペタと体中を触ったり見たりしてチェックする。


「触った感じや見た感じはゲームをしていた時の格好に靴を履かせてたってところか。裸足で歩くのは辛いし地味にそこはありがたいな・・・召喚された時に体が透けてたから少し怖かったがそこも問題なしっと」


 自分がとりあえず五体満足である事に多少の安堵を覚えた才斗は、冷静さを取り戻す事が出来たのか未だに阿鼻叫喚な騒ぎの異世界の街を観察するように歩き出す。


「武器屋に防具屋に道具屋に酒場、どう見ても異世界人な街の奴らもPVで見た街並みそのまんまだな。しかも全員自分の意志で行動してるっぽいしNPCも生きてるみたいだな。お~あそこの武器屋にいるのドワーフか?マジでチビなおっさんなんだな!あのデカくて強そうなのは竜人ドラゴニュートじゃん!かっけー!可愛い獣耳な女の子とかエロいサキュバスとかいないかな~?ハッ!?って何普通に異世界満喫しようとしてんだ俺は!?そんな事は後回しだ。まずは状況確認が先だろ」


 途中から本物の異世界に興奮し目的が観察というより観光になっていた才斗はぶんぶんと頭を振り「まずはお約束の能力の確認だな」と状況確認の作業に戻る事にした。


「だいたいこういう時はお約束的にステータスとか言うとウインドウがってうお!?本当にでるとは。マジでゲームの世界って感じだな。どれどれ~?」


【名前】プライド

【LV】1

【職業】ウィザード

【称号】大罪人

【状態】不幸、嫌われ者、童貞

【能力】

・HP 10 

・MP 60 

・STR 1 

・VIT 1

・DEX 1

・AGI 1

・INT 6

・LUK -100

【特性スキル】

なし(習得不可)


「ふぁっ?」


 そして才斗の時間は静止した。

 それは彼の異世界生活と言う名の受難が始まった瞬間だった。



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