運営(女神)からの警告がきたんだが・・・
前回が自分で書いててもよくわからなくなったので説明&女神回
運営。
それはそのゲームを取り仕切り動かす事で利益を得る団体である。
仕事は多岐に渡っている為どんな事をしているのか?と聞かれても答えずらい。
しかし運営とは何?と聞かれ、それに一言で返すのであれば
神。
そう神である。
別に褒め言葉で言っているのではない。運営くそ、とか、運営マジ神みたいな意味ではない。
そのまんまの意味だ。
運営が白を黒と言えば白も黒になる、逆もまた然り、オセロをしていて4つの角を白が取っていて勝利が目前のところを、突然、いやこの4つ全部黒でしょ!と言われて盤面が急に黒に変えて逆転してしまえるどうにもならない存在。それが運営だ。
勿論そんな強引な事も出来ると言う話しで、普通はそんな事はありえない。
それでは運営は神ではなく邪神になってしまう。
では運営が神ではなく女神ならどうだろうか?
「つまりね!あんたのやった事は神界規約で禁じられてる行為なのよ!」
才斗は黄金の魔法陣が浮かんでいる白い部屋でマリアに怒鳴られていた。
「大体なんなのあの滅茶苦茶な理論は!?確かにアストラルディストーション変数理論に近いものがあったけどあれはないわね!あんな論文をゼウス先生に提出したらあんた間違いなく再提出よ?いやあたしが『結局は気合』って書いた時は問答無用で補習だったからあんたもきっと補習ね!ざまーみなさい!ちょっと!?聞いてるの!?」
「あぁ?ああ悪いゲームしてて聞いてなかったわ。んで何だったけ?海がお味噌汁にならないのは何でだろう?って話だっけ?」
「全然違うわよ!なんでそんな古いネタ出してくるのよあんた!ん?何でなのかしら?」
「味噌が入ってないからじゃないか?」
マリアはなるほど確かに……と目から鱗と言った顔で頷くと話をすり替えられた事に気が付き怒鳴りながらポカポカと才斗を叩く。
「ちょっ痛っ!くはないか精神体だし……けどやめろ気が散る。もしミスってエレメンタリストになれなかったらどう責任とるんだお前」
「何で女神のあたしがせっかくありがたい話しをしてるのにあんたはそんな器用な事をしてるのよ?」
才斗はマリアと話しながらも、マリアが持っている水晶を通じて才斗の体を操作して黙々とレベリングをしていた。
マリアはそれを見るとはぁと溜息をつき『フリーズ』と言うと水晶の中で動いていた才斗やモンスター達が急に時を止めた様に動かなくなる。
「ちょっおまえ!なにすんだよ!そういう事するから友達出来ないんだぞ!?」
「あんたに言われたくないわよ!ていうか何であんたはあっさり人間やめた事ばっかりしてんのよ!?あんたここに来た時普通の人間だったわよね?」
「失礼だな。オレは今でも人間だぞ?」
「普通の人間はこの空間からMBOの仮想実体を操作するなんて出来ないわよ!ていうかさっきのブルファンガにやった『アレ』は何よ!?」
「あ~バグ魔法のフラッシュキャストとマルチスペルだが?」
「あんたの中二臭い勝手につけた名前を聞いてるわけじゃないわよおお!」
ツッコミ疲れたと言わんばかりにはぁはぁと肩で息をするマリアの顔を見て、才斗は何でこんなに可愛い顔をしてるのに1ミリも恋に発展する気を起こさせないんだろうか?と疑問に思うと、少し顔を赤くしたマリアにしっかり向き直り真面目に話を始める。
「何でと言われてもバグ魔法を使っただけだとしか言えないな」
「だーかーら!そのあんたの言うバグなんてもの、天立神界学校のエリート女神マリア様が作った異世界にあるわけないって言ってんのよ!」
「何だその頭悪そうな学校は………しかし現にお前の自慢のシステムをオレのゲーマー魂が超えた事は事実だからな?」
「普通の人間はあんたみたいに、あたしのシステムのサポート無しでスキルを使ったり、あたしが決めたシステム以上の事は出来ないんですけど!?」
そう。才斗は自分が魂だけの存在である事を看破し、その魂にまで刻まれたゲームの技術で神のシステムにバグを意図的に起こす『バグ魔法』を使った。
と彼の中ではそうなっている。
もはや神PSだの神技だの以前に意味不明である。
マリアに言わせれば『普通の人間は女神のシステムのをサポート無しでシステム以上の事は出来ない』と言う事らしく、それを出来た才斗は普通の人間ではないらしい。
「まぁ確かに普通の人間ではないな。神PSゲーマーだし」
「まだ人間って言い張るのね……ていうかあんた神PSって言えばいいって思ってるでしょ?」
ゲーマーって一体何なのよ?と思いながらげんなりとするマリアは溜息をつきながらコホンと咳払いをすると事務的な喋り方の女神モードになる
「楠才斗様、あなたのやっている事は神界規約7条、『人外能力禁止』に完全に違反しています。人外能力の行使は運営や他プレイヤーの迷惑になる為認められていませんので直ちに違反行為をやめてください。なおこれ以上人外の能力を行使致しますと楠才斗様の魂と体を永久凍結し、神界でお預かりします」
「………は?」
マリアが事務的な口調になると才斗は時間を止めらるという神界規約とやらでもあるのだろうか?と言う悪態をつく余裕すら無い才斗はそれがお約束とばかりに固まってしまう。
「言っちゃうとあんたの言う神PSとやらは人外の能力の類いの疑いがあるからやめなさい。じゃないとあんたを天国に送る事になるわよ?って事ね!BANよBAN!」
「ゲームがうますぎてBANとか聞いた事ねぇよ!」
「バグの意図的な利用は現実でもBANでしょうが!」
自分で神PSとか言ってはいるものの本当の女神に人外認定されると言うのは存外悪い気がしなかったのだが、才斗からしたらすごく頑張ったら出来た程度の話なのでこんな事で天国送りにされるいわれはない。
まだ童貞を捨てるどころか姉以外の女の子の手を握った事すらないのに天国に連れていかれると言うのは勘弁願いたいらしく全力で反撃する事にする楠才斗(童貞)。
「成程……確かにお前の言う事はもっともだ。確かに意図的なバグの利用は大体のゲームで規約違反だからな。だがオレが意図してやったって証拠はあんのか?オレの脳みそを電子顕微鏡で見たのか?それに神界規約とやらはそんな下らない事で何のチートも貰えなかった可哀想な普通の高校生を人外にするのか?なぁ女神さま?」
「うっ……それはっ……でもあんたはあたしのシステムサポートを受けないで魔法を使うっていう本当の魔法使いと同じ事をやっちゃたし……女神のあたしとしてはそんな事許すわけにはいかないっていうか……」
「それはお前が今までシステムサポートとやらでオレを助けてくれたからだ。オレはそれをただ真似して多少自分なりに改良しただけだよ。マリア。お前の女神としての偉大さや尊さが起こした奇跡なのかもしれないな。ありがとう女神マリア様」
「えっ!?ホント!?」
勿論嘘だ。
しかし精神体である才斗は自分を操作をするように、自分の魂の一部を操作し嘘の感情を作り、それをマリアに読み取らしている。
先程の白い部屋から肉体をゲームの様に操作するといった事もそうだが、どうやらこの空間は異世界の常識を超えている空間らしく意識するだけで何でも出来る様だ。
そして才斗は本当の魔法使いと同じとかさらっと言われた事をスルーし、顔の前で手を組みマリアを褒めちぎり感謝の言葉を言った。
今まで自分の事をこき下ろす事しか言わなかった才斗の口と本心からそんな言葉が聞けると思ってなかったマリアは驚愕し嬉しそうな顔をする。
「本当だ。実際オレやさっきのPTの奴らはマリア様が作ったシステムの起こした成長という奇跡のおかげで無事だったじゃないか。それに2億人の人間をこんな素晴らしい世界に連れてきてくれて、しかもとんでもない才能を与えるとかまさに女神の中の女神!こんな大きい事をしてさぞ苦労した事でしょう」
「あっははははは!ありがとう!それほどでもあるわね!そうなのよ~聞いてよ~ゼウス先生ったらひどいのよ!?あたしがちょ~っと学校サボって、ちょ~っと神界規約に違反する人間界に降り立つって事をして、ちょ~っとネトゲ三昧してたら単位くれないとか怒るのよ?ひどくない!?」
「お、おう……それはひどいな……うん、大変なんですね」
才斗はどうせ頭の悪い女神の事だから簡単に論破出来ると思ったのだが、思いの外才斗のやった事が許されない事だったらしく弱弱しいながらも反論をしてくるので、逆に褒める事にした。
すると態度をコロッと変えた女神は気を良くしたのか自分の愚痴をこぼし始めたのだが、その愚痴は女神とは思えないもので流石の才斗も顔を引きつらせ軽く引いている。
「しかも単位が欲しいならあたしの苦手な『世界構築』をしろって課題を出すのよ?そこはエリートなあたしとしてはやるしかないじゃない?そしてふと思ったのよ!あたしの楽しみにしているMBOを丸パクリすれば色々考えなくてすむし、どうせならそのプレイヤー達を呼んじゃえばさらに面白い事になるんじゃないか?ってね。先輩の神とかもこんな感じの事してたしあたしも真似をしたわけ。そしたらゼウス先生ったらひどいのよ?ちょっと聞いてる?どうして難しい顔をして頭を抑えているのよ?」
「いっ、いや大丈夫だ問題ない。ただの単位欲しさで異世界を作って、面白そうだから人間を召喚したって聞いて偉大な女神のお前とのカルチャーショックを感じただけだ。続けてくれ」
才斗は頭の痛くなる聞きたくなかった事実を聞かされさらに顔を引きつらせるが、必死に精神体の一部を操作して動揺を隠し、話を聞き出して何とか自分のバグ魔法の件を有耶無耶にしてもらおうとする。
それはそうだろう。やっとの思いでチート達に追いつける術を見つけてそれを会得したと言うのに、それ反則ですので使ったら死んでもらいますと言われたら才斗でなくてもどうにかしたくなるものだ。
「あらそう?あんたの事は大っ嫌いだったけど、案外話の分かる奴だし話すのも少し楽しいから具合が悪くなったら言いなさいよ?あっでも勘違いしないでね?あんたが良く寝る前にゴソゴソする時に登場する二次元のチョロイン達と一緒にしないでね?割と本気であの妄想は大抵の女の子は引くとおも」
「いいから!大丈夫だから話を進めてくれ!」
思わぬ切り口で精神攻撃をされた才斗は慌てて話を元に戻す。
マリア様は色々見てるらしい。
「そ、そうね。それでね。折角作った異世界なのにたくさん人を呼びすぎちゃったせいで色々なとこで沢山の問題が起きたり、あんたみたいなバグは出てくるしで大変なのよ。そしてもしこんな事がゼウス先生にばれたらすごい怒られるのよ……場合によってはあたしの今の唯一の楽しみなこの世界も取り潰されるかもしれないわ……」
「成程。それで取り合えずバグであるオレをここに召喚して警告をしたって事か。そんなものお前の神パワーでパパッと解決できないのか?というかもしゼウス先生とやらがこの異世界を取り潰したらどうなるんだ?」
「そういう事……まぁもう1人のバグの方はあれはもう仕方ないって感じだし……例えあたしが美しく偉大な女神であっても神が下界の事に干渉するの最大のタブーなのよ。あんた達の場合は特例の処置を使っただけ。あたしが出来るのは使徒を送ってその使徒に何とかしてもらう事だけなのよ。それでもし取り潰されれたらだけど、その時は即刻あんた達プレイヤーは記憶を失って元の世界に帰るわ。勿論現時点で死んだ人間は帰れないし、クリア者が出てないから告知したアイテムや100兆円もなしになるわね」
(なっ!?それは困るぞ?そりゃ元の世界には帰りたいが、プロゲーマーからしたら賞金100兆円やら現実世界で使える異世界のアイテムなんて物を前にして引き下がれない。というか色々聞き捨てならない言葉が聞こえたような……)
「どんな事があったらゼウス先生とやらは怒るんだ?」
「まずはプレイヤーの問題ね。その世界でおきた事はその担当の神の責任になるのよ。小さい事なら平気なんだけどなんか今回のプレイヤー達はあんた達を含めて色々おかしい人間が多いから、大問題になりそうなのよね。現に今もそうなりそうな動きを見せてるプレイヤーが困った事に大勢いるわ。あとは何と言ってもバグの存在かしら?これは運営のあたしが直接対処するべき問題だしこの事が他のプレイヤーに広まって騒ぎになったらそれこそ取返しがつかない事になるわ。それにシステムにバグがあるなんて知られたらまた補習を受けないといけなくなるし……」
「使徒とやらはどうしてるんだ?」
「ん~あの子達も多少は働いてくれてるみたいだけど、困った事に自分のクリアの事ばかり考えてあんまり働いてくれないのよね。反則みたいな強さの四重職業者とかURスキルまであげちゃったことが裏目にでたかしら……」
(ん!?四重職業者?URスキル?それってあいつらの事じゃん!?あいつら悪魔のゲーマー集団とか言われてたくせに女神の使徒になってんのかよ!?まぁ俺も人外認定されてるけどさ……だがまぁそれなら話は早い)
「大体の事は把握した。つまりお前はかなり困っていて、神PSを持つバグキャラなオレにもその使徒の役割を頼もうとしているって事でいいか?」
「なっ、なんで分かったのよ!?いや別にちょ~っとそんな事が出来たら助かるな~って思っただけでそんな本気でお願いしたいって訳じゃないのよ?それに女神で運営なあたしがこんな滅茶苦茶なバグに頼るなんてわけには……いかないし……」
ラース達の行動がやけに早かった事に納得すると、才斗はこの後に起こるであろう『お約束』を察してマリアに提案する。
マリアはそんな自分の考えを見抜かれると、バタバタと慌てると神の建前を弱弱しく、これって違反かな?グレーだけどどうなのかしら?と本音をダダ漏らす。
「安心しろ。さっきも言ったがこのバグは美しく尊い女神マリア様が起こした奇跡の産物だ。それにこの俺が大勢のプレイヤーにバレるようなドジを踏むわけないだろ?現状はソロだし、PTを組む予定もこれといってないからな。確かに上の層になればPTは必須になるだろうがそこは何とかするし、必ず役に立つと誓う。人助けが趣味だからなオレは!それを証拠にさっきも無残に殺されるところだったPTを助けたしな。だからお前はオレのバグ魔法、もとい女神の奇跡をこれからも見逃し続けてくれ」
才斗はペラペラと女神の耳障りがいい言葉を並べる。
厳格な神ならば勿論断られるのだろうが、マリアはそんな厳格な神の対局に位置する様な女神であり、尚且つすごく困っているため。
「うっ、なんかすごいいい提案に思えてきたわ。色々とツッコミを入れたり不安なところはあるはずなのに何故かしら?まぁやるだけやらして出来たら儲け、ダメだったら即天国に強制送還って事ならいいのかしら。なんだか丸め込まれた感が半端ないわ……」
「契約成立だな」
という事になり、計画通り。と言わんばかりの某新世界の神の様な顔をする才斗。
すると才斗の体が初めてこの部屋から異世界に飛ばされた様に透けだし、金色の魔法陣の光がさらに強くなる。
そしてマリアは事務的な態度の女神モードになり初めて才斗が固まらない言葉を言った。
「それでは楠才斗様。あなたを12番目の使徒として任命し、その力の限りをあなたと私とこの世界の為に使う事を女神マリアの名において許可します。あなたに女神の祝福を」
「ああ!宇宙戦艦にでも乗った気でいろ」
シュワシュワピッカーン!
そのやり取りを最後に強烈な光が瞬くと、才斗の姿は消え、白い部屋にはマリアだけとなった。
「行ったわね……それにしてもあいつ何者なの?システムを使わないで本来の姿の魔法を使ったり、あたしの読心に対して耐神認識妨害魔法を使って抗ったり、ただの引き籠りのゲーマーが賢者にでもなったって言うのかしら?あはははまさかね!そんな事になったら神界初の大ニュースだわ」
そう言うとマリアは深く考える事を止め、水晶を覗き込むとプレイヤー達が思い思い動き回る異世界に視線をやった。
書くことに夢中で気がつかなかったけどブックマークと評価をしてくれた人が出てくれました!
本当にうれしいです!このPTってなに?パーティー?って思ってたけどポイントだったんですねwww