8-3
閲覧ありがとうございます。
混沌と化した現状。
こういう時こそ冷静になってみよう。
レガ君は現在地面?いや木の上にいるのだから、
木の中に埋め込まれツタでふさがれてしまった。
よほどレガ君のことが嫌いだったのだろう。
しかし状況を知らないお嬢とゴウゴは
突然攻撃を仕掛けられたとということで
完全にヤル気スイッチが入ってしまっている。
お嬢は再び距離を取り詠唱をはじめ。
ゴウゴはマントを取り。
「貴様の敵はここにいるぞ!!!」
と吠えている。
正直バリバリ前衛のゴウゴさんに魔法使いのお嬢。
今まで会ってきた人たちの中での最強タッグだと思う。
本来であれば頼もしい限りのお二人なのだが、
今回は如何せん相手が悪すぎる。
もちろん強さ的な意味ではなく。
外交的な意味合いでだ。
問題は片した後にどうするか考える派のお嬢が
『生け捕り』という選択肢を用意している可能性は少ない。
問題になる前にどうにかする派の私としては
女王様にいったん落ち着いて頂いて。
何とか水に流してもらう方向に持っていきたい。
そうとなれば私の取れる手段はただ一つ。
私は宿殻を脱ぎ、お玉とフライパンで音を鳴らし
女王様の注意をこちらに向ける。
「!?」
聞いたことも無い金属音に女王様が落ちらに向き治ると
どうしたことだろう。
先ほどまでの鬼の形相が嘘のように。
子供のような顔へと戻っていく。
やはり。
やはり思った通りだ。
女王様はマッキーと会いたかっただけ。
きっとそうなのだ。
何故にマッキーがあのような叫び声で怯えているかは
わからないが。
レガ君に対する態度から察すれば
恐らく即座に殺されることはないだろう。
南無三!マッキー。
後で必ず助けるから!!!
「はぁ、はぁ、えへ、・・・エヘヘヘヘヘヘヘヘヘ。」
何やら気色の悪い笑い声をあげながら
宿殻の中に入ろうとしたその時。
(ッブシュ!)
何かスプレーのような音がしたかと思うと女王様が
入り口から突然弾かれたように飛びのく。
「イギャアアアァァアアーーーー!!!」
恐ろし気な声をあげて地面にのたうちまわる女王様。
一体何が起こったの?
私何も変なことしてないよね?
叫びながら顔面を押さえる女王様を見る限り。
もう大問題になるパターンじゃないですかね?
悪化していく状況に私が打ちひしがれる中。
これをチャンスと捉えた方が1名、いや2名いた。
「でかしたわ!カニ太郎!!!」
え!?
違うよ!?
私そういうつもりじゃなかったからね!
それにやったの私じゃないからね!?
【炎:フレイムタワー】
私が訂正しようとした瞬間
お嬢がためていた魔法詠唱を発動させ。
「とどめなのだ!」
そう叫んだゴウゴが女王様がいた箇所に向けて
地面が揺れるほどのパンチが叩き込まれた。
私の眼前で舞い上がる土煙と黒煙。
あれ?
おかしいな?体に寒気が・・・。
もちろん肉体的に冷たさを感じているわけではない。
むしろ間近でお嬢のフレイムタワーを感じた分熱いぐらい。
それなのに感じるこの寒気。
そう、それは人間が取り返しのつかない事態に遭遇した際の
恐れからくる心的なものだ。
手足が震え心臓が締め付けられ上手く息ができない。
はっは、何この状況。
もう女王様が生き残ってようが死んでようが
どちらにしても私たちに救いはなさそうだが
それならばせめて被害の少ない方が良い。
『どうか無事で!女王様!!!』
今の私にはそう祈ることしかできない。
そんな数分にも感じられる刹那。
舞い上がった黒煙と土煙の中からゴウゴが
お嬢に向けて投げられる。
「もう!役立たず!!!」
「うむ。すまぬ!」
空中で器用に態勢を立て直すと
お嬢の傍に立ち構えを整える。
罵倒されつつも生き生きとした笑顔のゴウゴ。
そして罵倒の中にも嬉々とした感情のこもるお嬢。
戦いの中で友情を育むのは良い。
どうか相手を間違えないで頂きたい・・・!
そんな私の願いを知る由もない皆様。
私を他所に盛り上がってゆくバトル。
・・・。
・・・・・・。
もう、レガ君助けて避難しようかな。
そう思い至りレガ君を覆ってしまったツタを
切りに近づいたその時。
っほあ!?
ツタが私のハサミに絡みついてくる。
何このツタ!?
つよ!
力つっよ!!!
予想外の反撃と締め付けで私のハサミを壊しにかかる。




