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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
8/161

1-8

監視塔からもっとも近い町までは歩いて3日。


少し急いでいるので二日もあれば着く様だ。



私はお嬢の愚痴を一通り聞き終わると、

することもないので道端の草を切っている。


こう、歩きながら揺れ動く草を切ってゆく。


なんだろうか。


このどうでも良い行動にのめりこんでしまう。


イメージ!イメージするんだ!!!


自分のハサミの軌道を、切られた草の形状を

最適かつ最良の行動からもたらされる結果を!



試行を行うごとに洗練されてゆくカッティング。



そして編み出された秘技!ハート切り!


近くにあった枝葉の一枚が綺麗なハート型に

くり貫かれる。


決まった!


惚れ惚れする妙技に私大満足。


切り抜いたハートはスラ子にあげるね!



っふっふっふ。スラ子うれしい?



(ジュワ)



っは!いや食べ物じゃ・・・。


まぁ、いくらでも作れるか。


改めて近くの枝葉に狙いを定めて

ハート切りを実行しようとしたとき。


突然の疲労感と共に目の前の葉っぱが

ハート型にくり貫かれた。



(ピロピロピロリン)



「【斬】の発生を感知しました。」



!!!



え?何!?スキル!?



ってかヤバイお嬢にばれる!?



あたりを見まわすがお嬢はいない。


それどころか道もない。



っふぁ!?


お嬢いない!?は、はぐれた!?


まずい、やってしまった。


そんなさなか、いやなことは重なるようで。



(がさがさ)



!!!



何?何かいるの!?


お爺さんの話だと塔のおかげで町までの道中に

強力な魔物は出ないらしいが、

弱いものぐらいは出るらしい。


正直最弱モンスターと聞き及ぶ私が無事で済むか、

心配なところである。



揺れ動く茂み。



その中から出てきたのはゴブリンだった。



そう、ファンタジーの王道ゴブリン!


ぶっさいくな緑のあいつ。



「・・・い、いたゴブ!

あの人の言っていたとおりゴブ!」



あれ?しゃべれるの?


ひとまず戦うことはなさそうだ。


というか?私を探してたのかな?



「はぐれたゴブ?」



そのとおりなのでうなずく。



「や、やったゴブ!やったゴブ!」



お?なんだかすごい喜んでいる。


そんなに私が迷ったのがうれしいのかこいつ?



「あ、安心するゴブ。連れて行ってあげるゴブ。」



良い奴だ!ごめん。不細工とか思ってごめん。


私の心のほうがぶっさいくだわ。


ってか何だろうかこの感じ。


この世界に来て初めて優しさに触れた気がする!


そんな心優しいゴブリンに担がれ茂みを抜ける。


日も傾きかけてきたが何とか道らしきものも

見えてきた。



あ!いた!お嬢だ!



遠くにお嬢がいる。


ホントありがとう。ゴブリンありがとう。


泣いてしまう。


人と会えるとはこれほど感動的なものなのか!



あ!お嬢がこっちに気がついた!!!



お嬢!ごめんなさい!はぐれてごめんなさい。



「・・・【火:フレイムタワー】」



私を担ぎお嬢に向かって走っていた

ゴブリンの足元に魔方陣が展開された次の瞬間。


膨大な熱量が襲い掛かってきた。


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