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お嬢の呼び出しに駆け足で向かう私。
そしてその私を一瞬で抜き去ってゆくスラ子。
あ、あの箱は・・・。
嫌な予感がしつつも殻の外に出ると・・・。
「な”!な”!んんな”ぁーーー!!!」
「や、やめぬか!」
スラ子が如何にも不審者が被りそうな
ローブを全身にまとった大男に
ミカンの皮を投げつけている。
もうスラ子にここまで嫌われている人物
なんて一人しかいない。
「スラ子ちゃんダメでしょー。」
そういってスラ子を抱きかかえるお嬢。
相変わらず私との扱いの差を感じる。
恐らく私が同じことをしたら鉄拳が
コンボで降りかかってくる。
何故、何故もうちょっと愛らしい
モンスターして召喚されなかったのか。
正直ちょっと悔やまれる。
「貴様・・・!従魔の躾がなっとらんぞ!」
「は?私の従魔は此奴よ。
スラ子ちゃんじゃないもんねー。」
「なー。」
お友だチックなリアクションにイラつく変装ゴウゴ。
「吾輩はこれのせいで死にかけたんだぞ!!!
なんなんだこの毒物は!」
そういって地面に落ちたみかんの皮を踏みつぶす。
どうやらネコ科の獣人であるゴウゴさんには
このみかんの皮は危ないらしい。
そしてそれを聞いて悔しがるスラ子。
ほんと殺意が高い。
ゴウゴ絶対コロスライムと化したスラ子。
どしたん?
両親でも殺されたん?
そのぐらいスラ子拒絶反応がすさまじい。
過去に何かあったのかな?
周りの個性が強すぎて気にしたことがなかった。
あからさまに他のスライムと一線を画すスラ子。
今振り返ってみるといろいろと
気になる点が多々ある。
そんな私が思案にふけるなか
にらみあうスラ子とゴウゴ。
「っふん!とにかく聖域に向け急ぐぞ!」
先に折れたのはゴウゴだった。
「ってかあんた絶対案内役の人じゃないでしょ?
何しに来てんのよ?」
もっともな突っ込みをするお嬢。
此奴はどうやったって案内するよりされる側だ。
「む!吾輩は案内役なのだ!」
そういってごそごそ懐から紙切れを取り出す。
そう、それは先ほどイスイさんが描いていた紹介状・・・。
「ほれ、あいつの紹介状だ!」
そういって私たちに紹介状を見せつける。
・・・!!!
だがその見せつけられた紹介状には
先ほど見たときにはなかった血痕が付着している。
どうやったって正式に受け取ったものじゃない・・・。
お嬢もどうやら同じ感想を持ったらしく、
着実にストレスゲージを上げていっている。
とにかく私たちは此奴をつれて聖域に向かう前に
牢屋に向かわなければならないようだ。
ひとまずどうやってこいつを捕縛するかお嬢と
相談しようとしたその時。
「いたぞ!!!」
(ピピィーーーー!)
どこからかその声と共に大きな笛の音が響き渡る。
「っち!もう来おったか!!!
あとで必ず合流する!お前たちは先に行っておれ!」
何か一人で勝手に盛り上がっているゴウゴさん。
どうやら私たちとあなたの間に絶対的な空気の壁が
あることに気が付いていないご様子。
何かちらっとかっこつけたポーズをとると
追ってから逃げるべく颯爽と駆け出してゆく。
「逃げたぞ!あのバカを追えーーー!!!」
如何にも強そうな獣人達がゴウゴの後を追ってゆく。
そうして喧噪が遠ざかってゆくとどこからともなく
イスイさんが現れた。
お嬢の目の前に立ちさっさっと頭を下げるイスイさん。
「このたびはとんだご迷惑を・・・!」
それに対し謝られたお嬢は頭を下げるイスイさんの肩に
そっと手を置く。
「大丈夫よ。イスイさんは悪くないわ。」
「リサ様・・・!」
「でもあのバカは必ず捉えて首だけにしてね?」
「ちょ、それは・・・!」
「してね?」
「な”!」
有無を言わせない笑顔で迫るお嬢。
それに便乗するスラ子。
おま、イスイさんかわいそうでしょ?
そうして両者の間に割って入る私。
はたして無事に出発することはできるのだろうか?
九月入ってから忙しいだろうと思いきや、すでに忙しくなった件について・・・。




