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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
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7-1

閲覧ありがとうございます。

体の鈍い痛みが私の意識を呼び起こす。


う”-。


久しぶりに味わう寝起き後の疲労や痛み。


毎日が生まれ変わったかのように

絶好調で目覚めていたため

この気怠い嫌な気分を忘れていた。


体の形状から今は宿殻空間内にいるらしい。


痛みの箇所を手で確認しようとする。



「な!なな!!!」


「くえぇーーー!」



スラ子とピリかな?カラかな?の声がする。


見たところ看病をしていてくれたらしい。



「私が気を失った後どうなったの?」


「な!ななな、なな。」



あー。スラ子とカラじゃわからないか。


状況がわからないとおちおち休んでもいられない。


立てなくもないので、ちょっと殻の外へと出てみる。





どうやら今私は荷車で運ばれているらしい。


しかもレガ君が引っ張っている。


ってかレガ君が外で鎧を着ていない・・・?



「・・・あ。」



私に気が付いたのかレガ君が立ち止まり振り返る。


そしてレガ君が立ち止まったのに気が付いた

周りの一同視線が集まる。



「まだ・・・寝てないとだめだよ?」



珍しく心配をしてくるレガ君。


いや、それだけ体調がまずいのかもしれない。


とにかく今は大丈夫なの?



「うん・・・。大丈夫だ」



レガ君がそう答えようとするのを遮り

お嬢の声がする。



「か、かにたろう。」



いつになく弱気な声で。


こちらを涙目で見つめてわなわなしている。



「し、しんじゃったかと・・・!」



っひし!


荷台に上がり抱き付いてくるお嬢。


こんなお嬢に心配してもらえるなんて。


涙が出てくる。




ただ、主な原因は痛みのせいで。



悪気はないのであろうが、必死に抱き付く手の指が

お嬢が粉砕した顔面の甲殻の亀裂に入っている。


ぽろぽろと涙を流し泡を吹く私。


それを見て「ごめんね」と何度もつぶやくお嬢。


違うんだお嬢。


そうじゃない。


そうじゃないから・・・!



そしてそれに気が付いているレガ君。



「ちょ・・・やめ。」



傷に触らないようにお嬢を引きはがし、

近くにやって来ていたイスイさんにお嬢を渡す。


ついでに状況についても尋ねてみた。


私の気絶した後どうやらスラ子とフーシェが

みんなを回収して撤退する獣人の一団に

合流したらしい。


マー君はかなり手傷は負ったが

命に別状はないとのこと。


勇者についてはあの戦闘の後確認は取れていないが

もうすぐライオネル陛下が撤退中の一団と

合流出来るとのこと。


陛下の強さはわからないが

これ以上ない味方知らせで緊張の糸が一気にほどけた。



ぐったり荷台の上で伏せる私。



「カニ太郎!!!」



・・・お嬢がまた飛びついてきそう。



「私が、私がこんなに殴らなければ・・・!」



心の内を吐露するお嬢。


確かに今の私のボロボロ具合はお嬢による

顔面破砕と脇腹の損壊である。


周りで私を見ていた獣人たちも

『え?勇者にやられたんじゃないの?』

みたいな感じでざわついた。


お嬢?私は大丈夫だから落ち着こうか?


筆談で落ち着かせたいところだが

今は完全に力が抜けてしまっていてそれも出来ない。



「いつもはぐちょぐちょになるまで殴っても

次の日にはケロッとしてたのに・・・!」



泣きながらヒートアップしていくお嬢。


周りで私を見ていた獣人たちも

『え?あいつヤバくない?』

みたいな感じでざわつき始めた。


そんなざわめきも気にせず

ついに悲しみの臨界点を突破したお嬢が。



「し、死んじゃいやーーー!」



イスイさんを振り切り泣きながら突っ込んでくるお嬢。


それだけ私のことで必死になってくれるなんて・・・。


今まで辛くも仕えてきた苦労が報われた。


そんな幸せを感じてしまう。




ただ、お嬢ランクの冒険者が我も忘れ

とびかかってくるという事実。


・・・あの突撃を食らったら終わるな。


そっと目を閉じまさかの覚悟を決める。



(ッドゥン!)



鈍い音が響き渡る。


痛みはない。


あたりからわ息をのむような空気と

「すげぇ一撃だ。」などの声が聞こえてくる。


そう、そこには私の前に立ちふさがりお嬢に

みぞおちを決めるレガ君の姿が・・・!


おま、止め方!


止め方!!!



だが、もう動いて突っ込む力もない。


レガ君は気絶したお嬢を下におろすと

中に戻るよう促す。



「明日にはたぶん治してもらえるから。」



気になることを言うレガ君だが

もう聞き返す気にもなれない。


あー。


意識が遠のく。




夏休み突入。モチベーション次第で投稿スピードが変わりますがあまり期待はしないでください。

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