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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
68/161

6-12

閲覧ありがとうございます。

(ゴゴゴゴゴ・・・)



スイッチを押すと同時に嫌な音がする。



「ああぁ・・・。」



目の前に見上げる高さの津波が押し寄せる。


おおおぉおおぉ、おま、おま!


あたりを見渡すがレガ君の姿は見当たらない。


おのれ!逃げたなレ・・・!


突っ込みを入れ終わる前に、

引き裂くような衝撃が全身を襲う。



痛い、痛い、痛い、苦しい!!!


体中が痛い上に息ができない。


朦朧とした意識の中、上から漏れてくる光を頼りに

なんとかこの水中の中から這い出る。


何なん?


もう何なん!?


頭い痛いし、苦しいし、

いくらなんでも突然すぎるは!!!


今までにない状況の変化と理不尽さに

勢いよく肺の中に取り込んだ空気を

気持ちのこもった言葉と共に吐き出す。



「じぜん!・・・せづめ”ぇ---ーー-!!!」



はぁ、はぁ・・・、んっぐ!


呼吸を繰り返すと共に意識と視界がはっきりしてくる。


・・・ったっか!


何これたっか!?


視界の高さが恐ろしく高い。


気が付くとともに地面にしゃがみ込む私。


足元も感じからここが勇者とマー君の

戦闘跡だとわかる。


そして私を見る一同とそれを見つめ返す私。





・・・え?



うぉ!レガ君!!!


マー君をかばってのことだろう、

先ほど見た光景のままのマー君を背に、

レガ君がボロボロになって立っている。



とっさに魔獣みたいに変質してしまっている推定勇者を払いのけるとレガ君をそっと手に救い上げる。



(・・・ッゴト)



・・・うそ。


レガ君の首が胴体からずり落ちて私の掌に転がる。


冗談だよね?


さっきまで散々人のこと振り回して、

文句の一つも聞かずにこんなになっちゃうなんて。


軽く手をゆすってみるがレガ君の体がボロボロと

崩れてゆくだけだった。




・・・痛いな。



足元を見ると先ほど払いのけた勇者が

私の足を殴りつけている。


もう元の原型がわからないぐらい変質し、

まさしく魔獣と化している勇者。


体格差から考えると恐ろしい力としか言いようがない。



・・・でも。



私は勇者が殴りつけている足を上げると

そのまま勇者の上へ踏み下ろす。


何度も、何度も、何度も。


そして衝撃に体が耐えきれなかったのか

勇者が反撃しているのかわからないが

踏みつける足の感覚がなくなった。


どうやら形状の維持が出来なくなってきているらしい。


足の形状がもうぐしゃぐしゃである。


そっとそのぐしゃぐしゃになった足を上げる。


そこにはさらに変質した勇者が

地面にめり込みつつも辛うじて動いている。



何なの?


こいつは何なの?


お前のせいでレガ君はもう動かないのに。


なんでお前はまだ動くんだよ!!!


地面にめり込んだ勇者を引きはがすと

雑巾を絞る要領でねじ切ろうと力を籠める。



(パキパキパキ)



今まで聞いたことのない、

だが確実に何かが断ち切れてゆく音がする。




(ッグシャ)




地面へと落ちて行く勇者。


私の手の平には勇者のものなのか、私のものなのか

わからない魔力の残滓がまとわりついている。



・・・。



・・・やられた。


手に力が入らない。


地面に落ちた勇者は立ち上がると

あらぬ方向に曲がった体を自力で正常な状態へ

戻してゆく。


意味が分からない。


強くなっているのか?


ダメージを与えれば与えるほどに?


地面からこちらを見つめる勇者は

最初に踏みつけたときの勇者より

放つプレッシャーが圧倒的に違う。


怒りに我を忘れていたが

この状況に冷えた頭が冷静に働きだす。


マー君は勇者への直接攻撃を避けていた。


聖剣を失った後の勇者に対しても

とどめを刺すといった選択肢ではなく、撤退を。


こういった行動はマー君のやさしさだと思っていた。


でもこうして異様なスピードで強くなってゆく

勇者を目の前にしてそれが違うことに気が付いた。


攻撃しなかったのではなく出来なかったのか・・・!


そう思い至るのと同時に

勇者が私の足に攻撃を加える。


その衝撃は私の足ごと重心を後ろに引っ張る。



!!!



あからさまに私の体制が崩れた。


なんとかお嬢や、マー君を踏みつぶさないように

足を置きなおして体制を整えるが予想は

間違っていてくれそうにはない。


こんな威力さっきの勇者の攻撃にはなかった。



・・・ダメだ、勝てる気がしない。


ダメージを与えた分だけ強くなるって無敵じゃん。


それに比べて私は最初に比べてすでに満身創痍。


しかも確かレガ君は3分といっていた。


もう残された時間もないはずだ。


・・・ごめん。


ごめん。


みんなごめん。私しくじっちゃったよ。


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