1-5
骸骨によって体が壁に引き込まれてゆく。
万事休す。
さらば短かった異世界生活。
そんなあきらめていたところ、
どこからかスライムが現れて
私をつかんでいた骸骨を包み込む。
(ジュワ)
おや?骸骨の様子が?
目の前で色あせ溶けてゆく骸骨。
そんな中突如壁の色が元の石工の色に戻ってゆく。
「大丈夫か!?カ二太郎、
装置を切ったからの。今引き上げるぞい。」
先ほどと同じように浮力を感じ体があがってゆく。
何とか助かったようだ。
そう安心していたのもつかの間。
(びちゃ)
!?
先ほどまで骸骨を溶かしていたスライムが
私に付着してきた。
振り払おうにもコーティングされたかのように
体を包んでおりうまく振り払えない。
でも何だろうこのフィット感。
それに別に骸骨のように溶かされてはいない。
痛くもかゆくもない。
それよか冷やっこくて気持ちが良い。
「大丈夫かカ二太郎?」
スライムにまみれた私とご対面である。
「・・・【火:フレイム】」
お爺さんの指先が光ったかと思うと
こぶしほどの大きさの炎が飛んでくる。
これに対しスライムは瞬時に私の殻の中へ。
っふぁ!?
私に直火である。
「なんと!?すまんカ二太郎!」
いや、やろうとしていたことはわかる。
でもさ、もっとほかにやり方ありません?
「小癪なスライムじゃの。ゆで・・・いや・・・」
おじいさんはスライムの取り除こうと思案中。
でも考えてみればさっきは骸骨から
助けてもらったわけだし。
今しがた攻撃されているわけでもない。
これはチャンスではないだろうか。
魔法生物との触れ合いチャンス。
となれば、
おじいさんのローブを引っ張り首(?)を振る。
ええんやで、お爺さんこの子はええんやで。
そんなニュアンスでボディーランゲージを行う。
「ん?カ二太郎大丈夫なのかの?」
うなずく。
「ふむ、カ二太郎が良いのであればかまわんが。」
そうこうしているとスライムが様子を伺いに
殻の中から顔(?)を覗かせる。
見詰め合うヤドカリとスライム。
それの様子を見守るお爺さん。
何だろうこの状態。この空気。
(ピロピロピロリン)
昨日お爺さんからもらったプレートから音がする。
「亜種スライムより【特:共生】への
参加意思を感知しました。」
うお!何このプレート!?しゃべるの!?
お爺さん何これ!?
って、お爺さんも驚いてるし!
えっと、共生ってことは仲良くなれるのかな?
大歓迎です!
「【特:共生】の発生を感知しました。」
お?
何だろう?
スライムの気持ちがなんとなくだけど
伝わってくる感じがする!?
スライムさん喜んでいらっしゃる!
こうして私はスライムというファンタジーな
魔法生物と一緒に生活することとなる。
ちなみに後で確認したところ。
魔力制御の調子が悪かったのはこのスライムが
外壁にくっついて悪さをしていたからだろう。
そんな結論に至った。
あれ?
何か釈然としない感じがするが気にしない。
そう、気にしてはいけない。