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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
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1-4

良ければお楽しみください。

私の召喚された部屋から異世界の朝が始まる。


昨日のつらい出来事も過ぎ去ればただの思い出。


私は一皮向けたのだ。精神的にも、物理的にも。




そう、私脱皮しました。


すごいよね。一晩寝たら脱皮して全回復。


漫画ではまれに見かけるご都合設定。


何か不条理を感じていたが、

いざわが身に起こってみると大変助かる。



「おはようカ二太郎。・・・おぉ?」



お爺さんはどうやら私の体が気になるようだ。


ぶつぶついいながら体を確認している。


そうだよね?


割とおもいっきりやってくれたもんね?


だが良かったな!お爺さん!!!


私の心はとても広い。


手が治ったからには今回は許してあげよう!



「専門でないわしにはわからんか。

それよりもカ二太郎や。

カニ太郎に頼みたい仕事があるんじゃが?」



仕事か・・・。


こういうところでポイントを稼ぎ、

カニ太郎の扱いを良くしてゆく。


そういうの悪くないよね?


いいよ!私やるよ!






そうして向かった先が屋上である。


小屋の屋上はそのまま塔の天辺になっていた。


あたりは見渡す限りの大自然。


そこに朝日が差し込んでゆく事で

草木の色彩が鮮やかになってゆく。


綺麗な風景に見とれつつ、

下を見るととやはり地面が遠い。


ビルで言うなら10階ぐらいの高さかな?


私はここから落ちたのか・・・。


よく死ななかったな・・・。



「それじゃあの、カニ太郎や・・・。」



おじいさんが解説をはじめる。


この塔はお爺さんの属している

『グラインバルム王国』の西に存在する

『ガ・ゴルバル』という獣人の国を

見張るための国境警備の塔らしい。


なんでも数百年前の魔法技術全盛期に

技術の粋を尽くて建てられた物らしく

恐ろしく頑丈なのでそのまま頂上に小屋を建てて

監視塔にしてしまったとのこと。


また、塔に領域干渉?の魔法増幅の効果があり、

魔力制御を行うことで塔の周辺に強い魔物を

寄せ付けないようにしたり、

塔付近の敵対する存在に対して弱体化の

効果を発動させる事が出来るらしい。



「そう!じゃからして今の王国西部の発展は

わしの魔力制御あってこそなのじゃ。」



要点以外のお爺さんの武勇伝が

一段落したので取り合えず拍手?をしておく。


空気をよんだ。



「まぁ、そんな大事な塔なんじゃがな?

最近魔力制御の調子が悪くての。」



おじいさんは懐からロープを出し始める。


・・・おぉ!


手品レベルの量が出てくる。



「じゃからの?

カ二太郎には塔の外壁調査をして欲しいのじゃ。」



外壁調査か・・・。


さっきのお爺さんの話だと年代物の

すごい建物なんだよね?


なんかそういう探検家みたいで面白そう。


ちょっとあこがれてたんだよね!


ムチを使いこなす考古学教授!!!



「ひとまずこのロープを巻きつけて、

外壁に異常がないか見てきておくれ。」



異常?異常って言われてもなぁ。


壊れている箇所を見つければいいのかな?


私の疑問をよそにお爺さんが手馴れた感じで

ヒモを結び付けてゆく。




そう、見事な亀甲縛り。


いや、確かにがっちり感はあるけどね?


そんなうれしそうに縛られても・・・。



「何かあったらこのヒモを強く引っ張るのじゃぞ?

ではカ二太郎。わしは準備をしてくるからのう。」



おう!まかしてお爺さん。


お爺さんにかっこよくポーズを決めて

塔の側面へ飛び降りる。


あーでもちょっとロープ掴みづらいな。


ある程度持ち方を気にすれば平気だが

力の入れ具合によっては危ない気がする。


そんな感想を抱いたその時。



「なんと!カ二太郎まだじゃ!

まだ防衛装置きっとらん!!!」



え゛?何それ!?


既に重力に任せてある程度おりてしまった。



「か、カ二太郎大丈夫か!?

いいか?動いてはかんぞ!?」



お爺さんの声と共に体が不意に軽くなる。


おぉ!?これは浮遊魔法的なものですか!?


体が上へ浮かぶ。


が、足の一本が壁に挟まってしまっている。


いや、壁の中にめり込んでいっている。


な?何これ!?


足のめり込んだ部分の壁がドス黒く変色し始める。


そして不気味な音と共に変色した部分が

ドス黒い骸骨を形成し始める。



ひぃー!


こんなの聞いてないよお爺さん!


あ。


ヤバイって!!!


なんか壁にめり込んできてるって!!!




もう目の前の骸骨が両手で私をがっちりと

固定しながら覆い被さろうとしてくる。


おそらくそうして壁の中に埋め込むつもりだ。


させてたまるか!!!


目の前骸骨のあごに鋭いパンチを加える。


この土壇場にしては全力のいいパンチが

決まったと思う。



(カタカタカタ)



私の抵抗を余裕を持って笑っている。




・・・無理。


撤退だ!


私は引き際は間違えない!


ロープ!ロープ!!!


ロープをしっかりつかみ手繰り寄せようとする。


溺れる者はは藁をもつかむ!


あってよかったね!ロープ!!!


しかし慌てた私はやってしまった。



(ジャキン!)



おうふ!



人間感覚で思いっきりつかんでしまった。


だって割と鋭いもんね。


このハサミ・・・。


あー、終わったかもしれない。


骸骨に引きずられ足だけでなく

体まで壁にめり込んできている。


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