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お嬢と宿舎に泊まる事になったその夜。
お嬢にヴォルフさんについて筆談してみた。
話によると、そのヴォルフさんはお爺さんの
古い冒険仲間で今はセントリアで聖騎士団の
うちの一つをまかされている人物らしい。
こちら側に来た際に頼るように
お爺さんから言われていたらしいが、
何やら不穏なご様子。
あのおばあちゃんの話からすると完全に
犯罪者扱いである。
「とにかく今はじっとしてましょう?
大丈夫。こっちにはお兄様がいるもの!」
お兄様と言うのはお嬢の思い人である。
名前はフリッツ・フェルト。
お爺さんの弟子にして、
この国の魔術機関で働くエリートらしい。
もう、この国に来る道中は
お嬢のテンションがあがりにあがって。
ずっとお兄様の事をしゃべってた。
普段必要最低限の声かけしかしないお嬢が。
自発的に話し、一方的に話し、
ずっとずっっと話し続けるので。
もうだいぶ詳しくなってしまった。
そして今日はこのまま何も起こらず
翌日の朝となる。
・・・。
朝ご飯が運ばれてきた。
そう、持ってきた奴の話では
なるべくここから出ないでほしいと言う事で。
もう軟禁じゃないですか。
お嬢も考えるところがあるらしく。
食事に手をつけず何やら
書き物をしているご様子。
そこへ慌ただしく扉が開かれた。
「リサちゃん!大丈夫か!?」
扉をあけたイケメン。
お嬢から聞いていた容姿そのままの人物。
そう、フリッツさん登場である。
「お兄様!!!」
駆け寄って抱きつくお嬢。
メスの顔をしてやがる。
「お兄様が来てくれるって信じてました。」
「本当にすまなかった。ヴォルフさんの件は
手紙で送ったんだがどうやら入れ違いに
なってしまったようだね?」
「ごめんなさい。お兄様に早く会いたくて。」
「いや、いいんだよ。
僕も対応が遅れてしまっていたからね。
でもグラインバルム王都からここまで
よくこんな早く来れたね。」
「えぇ、この子ががんばってくれたので。」
お嬢が私を紹介してくれる。
どうも、私がカニ太郎です。
「君がオイゲン師匠の召還したという。
よろしくね。カニ太郎君。
でも、手紙で知ってはいたが大きいね?」
まぁ、召還当時からだいぶ膨張しましたから。
思い返せば当時はボーリング玉ぐらいの
大きさだったんだよな。
気がつけば物置小屋になってからも少しだけ
大きくなってるし。
「でも、お兄様。ヴォルフおじさんに
いったい何があったんですか?」
「あぁ、どうやら勇者様ともめ事を起こして
姿をくらましてしまったんだ。」
「!!!」
勇者!?勇者がいるんだ!!!
ってか勇者ともめ事っていったい?
「あのヴォルフおじさんが?
なんでそんな事に・・・。」
「すまない。僕にも詳しい情報は
伝わってきていないんだ。」
「お、お兄様が謝る事では!」
「とにかくヴォルフさんは今追われてる立場に
なっている。リサちゃんも気をつけてほしい。」
「はい!お兄様!!!」
嬉しそうに返事をするお嬢。
なんだかお嬢の年齢相応の反応を見てしまった。




