3-11
夕暮れも終わり夜がやってきた。
お嬢にがっつりお説教をされた私。
別に悪い事してた訳ではないんです。
配慮もしたはずなんです。
「もう!あんたはほっとくと何しでかすか
わかんないんだから!」
それは私のあふれんばかりの才能がね?
「私があの詐欺師捕まえてこなかったら
どうなってたかわかってるの?」
それは本当にごめんなさい。
聞いた話によるとレガ君のレスポンスが
悪い事につけ込み。
商業ギルドに現れたアイツは、
私の依頼書を都合のいいように解釈させて
公式な譲渡契約をするところだったとか。
本当に危なかったらしい。
「あんたはもう私の家族なんだから・・・。
勝手な事しちゃだめなんだから・・・。」
!!!
お嬢がデレた!
まさかの展開にびっくりしてしまう。
お爺さんとも離れてホームシックかな?
まぁ、いつも強気でしっかりしているお嬢。
大人びているけど年齢的にはまだ中学生ぐらい?
今回はごたごたに巻き込まれて
だいぶ疲れてしまっているのだろう。
そのまま私に寄りかかると寝てしまった。
寝顔はとても可愛い。
守りたいな、この寝顔。
翌朝、王都を出発する事になる。
なんだか慌ただしかった王都。
いや、王都は入れてなかったけどね?
新しい仲間も加わり。
旅立ちの時を迎える。
そんな時聞こえてほしくなかった声がする。
「ゴブーー!!!」
そう、奴だ。奴の声がする。
ゴリ子!!!
声とともに遠方から現れる。
あれ?なんか色が・・・。
!!!
ピンクのフリフリを来たゴリ子が現れた。
「先生!リサ先生!!!」
ヤバい。お嬢の足が震えている。
「リサ先生!!!見てほしいゴブ!
ゴブ子可愛くなったゴブ!!!」
確かに昔のアイドルが着そうな洋服だ。
さらに懐から紙を取り出し見せてきた。
『可愛さ免許皆伝』
豪快な字体にキスマークがついている。
「嬉しくなって見せにきちゃったゴブ!」
嬉々として語るゴリ子。
沈痛な面持ちのお嬢。
王都に来てからトラブル続きだったというのに
ここに来て最大のやつが現れてしまった。
「ゴリ子いっぱい可愛くなったゴブ。
だからこれからはリサ先生について
もっと学びたいゴブ!!!」
!!!
さらに恐ろしい事を言い始める。
そしてお嬢の足が震えている。
お嬢がビビっている。
こんなお嬢初めて見た。
「か、カニ太郎!!!カニタロウ!!!」
すごい!
お嬢が私に初めて頼ろうとしてる。
めっちゃ必死に見つめてくる。
私も力になりたい。
なりたいのだけれどもどうしていいのやら。
その時である。
お嬢の目にピリカラが映った。
「!!!」
何かひらめいたご様子。
「可愛くなっただけで私の教えを?
っは!甘いわね!!!」
「ご、ゴブ!?」
「可愛いだけの奴なんてそこら中にいるわ。
町にもいっぱいいたでしょ?」
「いたゴブ。」
「私に教えてほしい人なんていっぱいいるわ。
その中であなただけを教える事なんてできない。」
「そ!そんな!!!お願いゴブ!お願いゴブ!」
やはり来た。ゴリ子の恐ろしいまでの押し。
ゴリ押しのゴリ子と呼んでも過言ではない。
前回もこのゴリ押しで挫けたお嬢。
だがそこはさすがのお嬢。
お見通しである。
「じゃあ、一芸でも身につけてくる事ね。」
「い、一芸ゴブか?」
「そうよ、可愛い特技の一つでもあれば
考えてあげる。」
「そ、そんなゴブ。
ゴリ子可愛い特技なんてわからないゴブ。」
お嬢に掴みかかるゴリ子。
お嬢はガチで引きはがそうとしている。
魔力で身体強化をしているはずのお嬢が
振りほどけないでいる。
どうやらゴリ子は身体的にも成長しているらしい。
「い!た!い!!!」
「ご、ごめんなさいゴブ!」
あわてて離すゴリ子。
「・・・あんたに先生を紹介するわ。
あの鳥よ。」
お嬢の指差した先にはピリカラの2羽。
ゴリ子と目が合いビビるピリカラ。
「ゴブ?」
ピリカラを見るゴリ子の目が
完全に捕食者のそれである。
危険を感じ逃げようとするがお嬢がそれを許さない。
飛び立とうとするピリの首を掴み上げ。
「この鳥があんたに踊りを教えるわ。」
「ぐぐぇ。」
お、お嬢!ピリが、ピリが泡吹いてる!!!
「新しい先生ゴブか!?
よ、よろしくお願いしますゴブ!!!」
お嬢からピリを受け取ると嬉しそうに抱きしめる。
ゴリ子の仕草は
ペット買ってもらい喜んでいる子供のような、
そんな動きをしているはずなのに。
邪神に生け贄を捧げた。
としか頭が認識をしない。
ゴリ子に確保されたピリを心配そうに、
近くでおろおろするカラ。
逃げないお前は本当に偉いよ。
「いい?ダンス系のスキル取得するまで
会いに来るんじゃないわよ?」
「わ、わかったゴブ!身につけてみせるゴブ!」
こうしてピリカラの尊い犠牲のもと、
ゴリ子同伴という危機を回避したお嬢。
ゴリ子の見送りを背に魔法学校へ向かう。
「スキルの習得なんて才能があっても数年かかる。
ゴブリンの寿命なんてたかが知れてるもの。
これで大丈夫・・・大丈夫・・・。」
自分に言い聞かせるようにつぶやくお嬢の目は。
『もし』と聞いたら『殺す』と即答する。
そんな目をしていたと言う。
これにて王都編終了。
次回より、魔法学校編。
また、最初の方から改稿していく予定。




