3-9
名前考えるのって大変だね。
どのくらい時間が経っただろうか?
30分ぐらいかな?
デコイを追いかけていた傭兵達と
ピリカラ、フーシェも合流。
全員そろったところで門からレガ君が現れた。
お嬢と簀巻きにされた詐欺師を引きづりながら。
そう、私をだまして物品と金銭を奪った奴である。
なんかニヤついて気持ち悪いな。
縛られて引きづられる事に興奮するんだろうか?
まぁ、こうして役者がそろったようだ。
なんでも今回の一件、このニヤついている
詐欺師が仕組んだ事らしい。
私からだまし取った在庫を使い
商品価値をべらぼうなまでに高め。
商人と傭兵達を煽動し、
あげくの果てに私に賞金をかけたらしい。
周りにいる傭兵達は支払い元が簀巻きに
されているので少しざわついている。
なんなんだ?
私に恨みでもあるのか?
こいつがいったい何をしたいのか全くわからない。
「さすがオイゲン翁のお孫様
すばらしい使い魔をお持ちですね。」
簀巻きにされ地面に放り投げられても
余裕の詐欺師。
私を見ながらニヤニヤしている。
ってか、お嬢!
触覚握らないで!ひねらないで!!!
反省してます。反省してますから!
「悪ふざけにしては大掛かりすぎるわよ?」
「悪ふざけではありませんよ?
必要な物か確かめるために
必要な事をしたまでのことです。」
飄々とお嬢の怒りを受け流す詐欺師。
お嬢の怒りのボルテージが上がってゆく
のが伝わってくる。
触覚経由で。
「私としましては是非ともリサ様の使い魔を
お譲りしていただきたいのですが?」
「あんた状況わかってる?」
「えぇ、わかっていますとも。
お騒がせしてしまった慰謝料も含めまして
相応の金額をお渡しいたしますよ?」
「くだらない。コイツは衛兵に渡す!
これ以上私たちに関わってもケガするだけよ!」
お嬢の一喝があたりに響く。
傭兵や商人達はお嬢の事は知っているらしく。
一様に散ってゆく。
「こちらとしては善意の提案でしたが
ご理解いただけないようで残念です。」
詐欺師がそういうと突然、門を警備していたはずの
甲冑がお嬢の後ろに現れ縦一線の斬撃を放つ。
「「「!!!」」」
その場にいた全員がまさかの状態に驚いている。
私も隣にいながら全く反応出来なかった。
だがそこはさすがのお嬢である。
あの一撃をなんとか魔法障壁で防いだようだ。
だがかなり苦しい表情をしている。
「リサ様、状況をご理解いただけましたか?」
いつの間にか詐欺師は簀巻き状態を脱し、
もう一体の甲冑のそばにいる。
あいつの余裕はこういうことだったのか。
「改めてお伺いいたしましょう。
使い魔を譲っては頂けませんか?」
「私が脅された程度で家族を渡すと思う?」
お、お嬢・・・。
迷惑ばかりかけている私を。
私を家族と言ってくれますか?!
私は、
私はそのお嬢の気持ちに応えてみせる!!!
お嬢と詐欺師の間に割って入る。
「そういえばあなたにも聞いていませんでしたね?
こちらに来ていただければあなたのご主人様の
安全は保証しますよ?」
っふっふ。
勘違いしているな詐欺師!
お嬢の安全を守るのはこの私だ!!!
自分の持てる最高の一撃をイメージし放つ。
【斬:高周波ブレード】
狙いはお嬢に一撃を加えた甲冑である。
スキルが発動した手応えはあった!!!
傭兵に使った際に発動しなかったので少々不安が
あったが真っ二つに割れた甲冑が崩れる。
おぉ!やっぱりちゃんと発動する!!!
どや?詐欺師。
「・・・やはり安物では相性は悪いらしい。」
お?お?
強がっちゃって!
謝るなら今のうちだぞ?
「今回は引かせていただきます。
気がかわられましたらいつでもご連絡を。」
詐欺師は一枚のカードをお嬢の目の前に
投げさすと、あっさりと逃げていった。
奴の姿消えたのを確認すると
地面に膝をついているお嬢に振り返る。
お嬢!?見てた!?
私お嬢を守ったよ!!!
お嬢を抱きしめようとする私を拳が襲う。
「全く!よけいな事して!!!」
っふっふ。
恥ずかしがっちゃって。
涙目でグーパンなんて可愛いな。
でもホントみんな無事で良かった。
あ、でも待って。
お嬢殴るのやめて。
無事じゃ、みんな無事じゃなくなる。
無事じゃなくなるから!
こうしてヤドカリ商店開店から始まった騒動は
収束を迎えることになった。




