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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
3/161

1-3

なんやかんやあって時刻は夕方。


そう!飯の時間である!


正直わくわくが止まらない。


ファンタジー世界といえばそれはもう未知の食材!


魔法的な植物やら、

モンスター的な肉やらエトセトラである。


これは期待せずにはいられない!!!


台所の方からは香辛料やらのにおいが漂ってくる。


何の匂いだかまったくわからないが

食欲をそそる類の未知なる匂い!


そんな感じでそわそわしていると。



「お爺様ー!夕ご飯できましたよ。」



ふふっ、お嬢め。


私の名前を呼ばないとは。


照れやさんか!


だが私は呼ばれずとも行きますとも。


この数時間で体の動かし方は完璧にマスターした。


意外と便利で安定性も高く、思いの外融通が利く。


俊敏な動きで食卓の上に到達する。


とそこにはまさにカントリーな料理の数々。


元の世界でもありがちなパンにスープ、

見たことないサラダやフルーツ。


いいね!


いったいどんな味がするのだろうか?



「こら!カ二太郎駄目でしょ。」


「っほっほっほ。

カ二太郎どうやら食いしん坊のようじゃの。」



そんなところにお爺様登場である。


さぁ!席について食事をしよう!!!


2人は席に着くと祈るようなポーズで。



「「・・・精霊の恵みに感謝を。」」



そしてで食事が始まる。



・・・?




あれ?私の席は!?食事は?


お嬢の足をつついてお伺いをたててみる。



「カ二太郎は使い魔でしょ?私たちの後よ。」



あーやっぱりペット的な立場なんですね。



「おっとそうか、すまんかったのカ二太郎。

リサや使い魔といえどカ二太郎は今日から

家族の一員のようなものじゃ。

一緒に食べさせてやろうじゃないか。」



さすおじ!さすがお爺さんやさしい!!!



なんだか飴と鞭で飼いならされている

そんな気がしないでもないが、

期待感を下げてから上げられるの大好きです!



「お爺様がそういうなら・・・。

・・・はい、カ二太郎。」



お嬢はどこからか茶色物体が山盛りの皿を

取り出して渡してきた。







・・・何これ?


美少女の手料理にありがちな料理という名の錬金術

によって生成された何かなのか?



いや?


でも食卓にはちゃんとした料理がのっているし。


ペットフード的な食べ物なのかな?


確かにヤドカリの体だ。


人間の食べ物が体に合うとも限らない。


でも、ペットフードってちょっと抵抗あるよなぁ。


しかし食わず嫌いも失礼だし、

ひとまずハサミですくって口に入れてみる。





(ッジャリ・・・・)




あ・・・これ砂だ。


っくそ!


ペットフードどころか食べ物ですらねぇ!!!


なんだ!?何で砂なんだ!?


確かに砂浜で砂食ってるイメージあるけども!


ひとまず皿をお嬢に押し返す。


すると不意に持ち上げられる。


あれ?お、お爺さん?どこ行くの?


お爺さんに隣の部屋に連れて行かれた私。



「カ二太郎や・・・。好き嫌いはよくないの。」



え?え?なに?私が悪いことになってるの?



「あの土はのう。リサがカ二太郎の為に

一生懸命とってきた土なんじゃ。

おいしい土をカ二太郎に食べてもらおうとな。」



その心遣いは前提が間違ってるからね?


土は食べ物じゃないからね?



「・・・きっと。」



って!お爺さん!?


もしかして想像で語ってません!?



「それにわしじゃってリサが取ってきた土なんて

食べたことがないんじゃぞ?

そんな特別な土を食べられるカ二太郎は

特別存在なんじゃぞ?」



良い笑顔でなにわけのわからないことを

おっしゃってるんですか?


大丈夫ですか!お爺さん大丈夫ですか!?



「残したらいかんぞ?全部食べるんじゃぞ?」



え・・・。



「・・・じゃぞ?」



やっべ語尾しか言わないパターン!


右手も。右手も持っていかれる!!!


あきらめて同意の表示を行う。




それから食卓へ戻ると土を口に運ぶかと見せかけて

背負っている木の生えた貝(鉱石)?

にしまう作業に取り掛かることになった。


ふふ。泣くどころか笑ってしまうわ。


下げてから上げて突き落とされるとはやりおるわ。




こうして異世界の一日目が終わってゆく。


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