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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
16/161

2-7

夕方とまではいかないほどの時刻。


私はとりあえず見つけた道具やに入った。


あのー。これっていくらで買ってもらえますか?


文字を書いた板と戦士君彫刻を出す。


店主は驚きながらも彫刻を見始める。


ほ、ほんとに大した物じゃないんです。


ただちょっと素人ががんばっちゃっただけの

作品なんですけどぉー。


おいくらかな?って!



「ほほぅ・・・これはこれは。」



い、いや!ホントね!!!


ちょちょっと作った物なので!


金貨何枚分かなー?って!


ちょっとした好奇心なんで・・・!



「いやはや、長いこと道具屋やってますが

ここまで凝った彫刻はなかなか・・・。」



え?そう?これはちょっと期待していいのかな?



「製作者が誰だかわかりませんが、これは君の

ご主人様のものかな?」



いえ!私がつくったん・・・。


いや、お嬢が作ったことにすれば

ネームバリューが付くかもしれない。


なんかゴブリンにもそんなようなこと言ってたし。


うなずきながら手に刻印された

使い魔の印を見せる。



「っひぃ!リサ・ベルクヴァイン!!!」



おっさんは椅子から転げ落ちあわてて口をふさぐ。



「こ、これは失礼を!!!」



え?え?おっさんの挙動がかなり危ない。


なんか心臓を抑えだした。



「と、当店と致しましてはリサ様のお品物を

扱わせていただける事は大変な誉れです。」



ほうほう。



「が、一介の道具屋風情ではこのお品物を

お取り扱わせていただくには力不足でして、

このたびは平に平にご容赦いただきたく!」



やばい。


いい年したおっさんを半泣きにしてしまった。


これは単純に高名な人だからって理由より、

あからさまにかかわったら命にかかわるから。


って反応だ。


なんか、ごめんなさい。


うなずいてとぼとぼ店を出てゆく。



「ま、またのお越しを。」



何とか店から這いずり出して、

必死に振り絞ったであろう声を出してくる。


おっさんホントごめんな。


そういうつもりじゃなかったんよ。



・・・お嬢の名前は封印だな。



さ!気を取り直して2件目だ。


2件目の店主はおばあちゃん。


戦士君彫刻を見せると

前の店主の反応と同じ反応をする。



「ここまで高品質な土精岩をよくもまぁ・・・。」



でしょ?でしょ?



「無名の作者っての痛いが、

銀貨20枚ってところかね?」



あれ?安くない?


納得のいかなそうな私を見ておばあさんは。


「この町ではこういった彫刻を

欲しがるお客は少なくての。

王都まで行けば物好きもいるから

上手に商えば高く売れるじゃろうが、

そうなった場合の運送費を考えると

このあたりじゃの」



あー、理由を聞かされると納得してしまう。


確かにここでは送料無料とはいかないからな。


色々リスクを考えると扱いきれないのか。


銀貨20枚、50枚で金貨1枚・・・。


いや、でも町の露天で売っていた


最高級宙吊り人形3種セットでも銀貨1枚ぐらい。


これはこの作品をかなり評価してもらった。


ということだろう。


でも、ちょっと複雑。


勝手に盛り上がって金貨を想像してしまったのが

まずかった。


素直に喜べない自分が悲しい。


念のため、駄目もとで大きなお店にも見せたが

同じような値段だった。




やはり芸術の道は厳しいか。


ね?スラ子?


どうやらスラ子は励まそうとしてくれている。


きっと『大丈夫だよ!』見たいな顔をしようと

してくれているようだ。


ただ、『っは!ざまあ!』見たいな下卑た笑顔に

見えてしまうのはスラ子の技量不足と

私の心が汚れているからだろう。


そうに違いない。


まぁ、そんなちょっと哀愁をかもし出しながら

夕暮れが彩る帰り道を戦士君彫刻をもって

帰ろうとしたそのとき。



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