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「やはり俺の目に狂いはなかった。
あのスライムいい目をしてやがったからな。」
一番偉そうなおっさんはそう言う。
スライムに目?
目フェチなのだろうか?
私にも言ってたし。
まぁ、マイブーム的なものだろう。
それより私の仕事がなくなった。
運搬をしていた人たちは壁のくみ上げを
行っている。
体のサイズ的に私は邪魔になるし、
スラ子はセメントと相性が最悪である。
残るは石切か。スキル使えるかな?
「おう、助かったぜスライム。」
もう、私が付属品みたいになってる。
「今日はこれで・・・。」
おっさんの言葉をさえぎり、
片隅に置いておいた求職看板の『仕事』を
猛アピールする。
「ん?っつってもあとは石切だしな、
あれは素人にはちょっとな。」
私は音が鳴らないよう例のプレートを
スラ子にしっかり持たせ。
求職看板の中央に狙いを定める。
【斬】
ほら、綺麗な正方形の出来上がり。
「おめぇやるな!!!
やっぱりいい目をしてやがるぜ!」
せやろ?
ということで石を切ってみます。
でも、この大きさも硬さも初めてだな。
スキルって失敗するとどうなるんだっけ?
まぁ、やってみよう。
【斬】
ん?
キレテナーイ!
そっか、発動しないのか。
でも、そうすると困るな。仕事にならん。
まぁ、出来ないことにはチャレンジあるのみ。
初心に忠実に!
石材の材質を良く確かめる。
うーんやっぱり硬いな。壁に使われるだけある。
密度、重さもばっちり。
私のこのハサミじゃ切れるイメージがわかない。
そもそもこのハサミでモノが切れること自体
すごいんだよなー。
だからもうひと工夫あれば、いける気がする。
・・・。
スラ子に水を出してもらって
水刃カッターみたいなのはどうだろうか?
スラ子、スラ子。
なんか水をシュババババって出せる?
頼んでみるとどうやら水は出せるらしい。
頼んでおいて出来た事にちょっと驚いた。
けどどうやっても勢いは足りない。
ってかスラ子が石切を出来てしまったら、
もうここでの私の立場はないだろう。
しっかり私!私はやれば出来る!!!
・・・っは!
そう、この励ましのフレーズ!
私のヤドカリパワー!!!
忘れていた。
スカイダイブを決めたあの忌まわしい記憶を。
だがしかし!
失敗は成功の母である!
イメージする。
微細振動する私のハサミがこの石材を切断し、
切り分けていく姿を。
最短、最小の動きで得られる最大効果を。
決意した瞬間に決まる結果を!
【斬:高周波ブレード】
決まった!
そこには縦一線に切られた石材がある。
っはぐ!
全身に強い痛みと疲労感が襲う。
【斬】を習得したときとは段違いだ。
幾分待っていると流れるように消えてゆくが、
かなり反動のあるスキルらしい。
気をつけねば。
その後、スキルに慣れつつある程度
石材を切り分けたところで今日の仕事が終了した。




