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のんきな冬のわすれもの

日ざしがだんだん強くなり、昼の時間が長くなってきました。

南の国から春がやってきて、冬に声をかけました。


「冬くん、おつかれさま。今度はぼくの番だよ。そろそろ北の国に帰る時間だよ」


ところが、のんきな冬は雪山でぐうぐう寝ていて、春が起こしに来るまで気づかなかったのです。


春にゆすられて、冬はまだ眠そうに目をこすりました。


「やあ春くん。もう交代の時間かい?

でも、まだ眠いから、もう少し待っておくれよ」


「だめだよ冬くん。ぼくのあとには夏さんが来るんだ。

氷をとかしたり、花を咲かせたり、それまでにやることがいっぱいあるんだよ」


「そうか…。じゃあ帰るよ。

また来年まで、さようなら」


冬はのそのそと北の国へ帰っていきました。


春はぽかぽか陽気にして、草花の芽を出させ始めました。

ところが何日かすると、急に寒さが戻ってきたのです。


空を見上げると、帰ったはずの冬がこちらを見下ろしています。


「冬くん、まだ早いよ! 芽がしおれてしまうよ。どうしたの?」


「ごめんごめん。大切な『雪のぼうし』を忘れてしまってね。どこかで見なかったかい?」


「えっ? そのぼうし、今かぶってるよ」


冬が頭に手をやると、たしかに雪のぼうしをかぶっていました。


「なんだ、自分でかぶっていたのか。どうりで見つからないわけだ。

ありがとう。じゃあ帰るよ。また来年までさようなら」


冬はまた北へ帰っていきました。


春はぽかぽか陽気にして、たくさんの花を咲かせました。

ところが数日後、また寒さが戻ってきました。

空を見上げると、また冬がいます。


「冬くん、花がかれてしまうよ。どうしたの?」


「ごめんごめん。『氷のつえ』を忘れてしまってね。どこかで見なかったかい?」


「そのつえ、今持ってるよ」


冬は手を見て、また苦笑い。


「なんだ、自分で持っていたのか。ありがとう。また来年までさようなら」


そしてまた帰っていきました。


春はぽかぽか陽気にしたので、たくさんの虫も飛び始めました。

ところがまたまた数日後、寒さが戻ってきました。

空には、やっぱり冬の姿。


「冬くん、虫たちがこごえてしまうよ。どうしたの?」


「ごめんごめん。『北風のマント』を忘れてしまってね。どこかで見なかったかい?」


「そのマント、今着てるよ」


冬は背中を見て、またまた苦笑い。


「なんだ、自分で着ていたのか。ありがとう。今度こそ帰るよ」


春は言いました。

「冬くん、ちょっと待って。もう忘れ物がないか、みんなで確かめよう」


花や虫たちと一緒に、冬の身なりをチェックしました。


雪のぼうし、氷のつえ、北風のマント。全部そろっています。


「冬くん、もう大丈夫だよ。安心して帰ってね」


「ありがとう。じゃあまた来年までさようなら」


その年、冬が戻ってくることは、もうありませんでした。


でもね、のんきな冬は毎年のように忘れ物をして、こんなふうに戻ってくるのです。

だから、春が来たと思っても急に寒くなる日があるんですよ。

のんきな冬には、ほんとうに困ったものですね。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。三寒四温を童話にしてみました。春本番が待ち遠しいです。

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