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2012  作者: 鈴木大志
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家から出るとすぐに、ベソをかくようにとめどなく汗腺から水が漏れ出ていく。仕事であまり、いや全く、日が昇ってる時には外に出ることがないからだろう、風邪じゃなくても頼りないこの身体にこの暑さは堪える。鉄板になりそうな色褪せたアスファルトの上を歩きながら、風邪が治ったら地球温暖化について考えてみようかなと一度だって実現しない計画を立てる。陽炎で少し歪んだ街々を見ているとなんだか眩暈がして、頭痛と吐き気を抱えながら千鳥足で、一番近いスーパーに向かう。一人暮らしを始めて一番辛いなと思うのが自炊な気がする。何を作るのかを考えるのも、洗い物をするのも何もかもが億劫だ。ただ一つ幸せな、食べるという行為すら、料理を作るまでと、後に来る洗い物で、挟まれ、至福の時間はただの食べ物の処理に変わる。スーパーに近づくにつれ、人と車と光の渦に巻き込まれていく。今だけは本当に花火大会なんぞ消えてしまえと思う。スーパーはさほど大きくないくせに見栄を張って、立派な駐車場を抱えてる。スーパーに飲み込まれるように中に入ると、快適を軽く越した寒さに身を包まれ、身震いする。今日は簡単にできるうどんで妥協しとこうと、アルミホイルの器付きのうどんを探す。色鮮やかな青果売り場を抜け、突き当たりの生鮮食品コーナーを曲がる。鶏肉売り場の向かいの棚にある冷凍うどんの横に置かれた目的のものを取り、レジに向かう。レジに向かう途中子連れの親子がお菓子の並んだ棚の前にいたので、

それを避けて、右隣の通路を通り抜けようとした。でも、そこでまず足が止まり、左に向けた頭が固まる。改めてこいつの影響力を知る。今ですらこんなにも、ありもしない酒気がまとわりつく。そっと伸ばした手の向かう先は決まっていた。棚から取った缶ビールを買い物カゴに入れると、肌を打ち付ける微かな視線に気づく。そこにいたのはただの子供。

そう、ただの子供だ。でも咎められてるような気がして、レジに逃げ込んだ。会計を終えた後のことはあまり覚えていない。ただ夢のように歪む道を駆けていた気がする。そういう気がする。

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