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師弟

作者: 中川 篤



 私は先生に師事していた。先生は作家ではあったが、このところ作品を発表することはまれだった。

 私は書き上げた小説を先生のところに一番に見てもらいに行く。先生はめんどくさがりもせず、毎回それを読んで感想をくれた。

 ある日私は先生に尋ねた「もう、お書きにならないのですか?」

 「人は一人では完成しないものです、となにかの作品の末尾である人が言いました。作品が一人の力では完成せず、日の目を見るかどうかも運によるところが大きいのなら、もういっそ自分の作品のことなど運に任せて、余った力を他人やこの世界全体の完成に向けて使ったほうがいいというような気がしてきたのです。

 そういう形で、人の作品と関われるのはなかなか楽しいし、彼らが成功や名声を手にするのを目にするのは、やっぱり、自分の事のように嬉しくなるものですよ」

 「それでは、先生は、もう、自分ではお書きにならないのですね」

 「わかりません」

 「先生、私は、成ることが出来るでしょうか?」

 「わかりません。ですが、頑張り次第です」

 やろう。私は思った。頑張るのだ。この道、私にはそれしかないと。



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