表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

文学

自殺代行人

作者: 緋西 皐

 契約通りに。


 「一回二千五百万円です。一昔前までなら多くとも千万くらいでした。最近はお金をかける方々が多いので」


 スーツの男は礼儀正しいフリ。色々書類を出した。


 「あ、でもまだ君は成人じゃないのか。だったら五百万円くらいから取引できますよ。最近はそういった代行者も増えてきてるので」


 優しい対応に感謝するまでである。私は書類に名前等書き込んでいった。わからないところを聞くとスーツの男は丁寧に教えてくれた。


 「支払いは三割が国負担、六割は君の負担、一割は自己負担でよろしいですか?」

 「はい」

 「わかりました。では身分証を」

 「今からやるんですか?」

 「あ、また別の日のほうがよろしかったですか?」

 「い、いえ、じゃあ今日でお願いします」

 「はい、今からでいいんですね? 別れの挨拶など」

 「はい。大丈夫です」


 スーツの男は段取りよく準備する。僕を連れていき、代行場所を覗けるところへ案内した。

 椅子に縛られた僕と同じ年くらいの人がいる。目隠しされてもいる。荒げてはなく、とても静かだ。


 「確認しますが、首吊りでいいんですね?」

 「はい」

 「失血死などもありますが、刃物で動脈を切って。実感あって人気ですよ?」

 「なら――――」

 「でも追加で百万円ほどかかりますが――――」

 「じゃあいいです」


 スーツの男は手に持っていた包丁を置き、代行部屋へ入って進めていった。僕はその終始を眺め、あっけなく代行は終わった。


 「こんな感じでよろしかったでしょうか?」

 「は、はい」

 「ではあちらの扉から――――ご来店ありがとうございました」


 小さなドアノブを開け、僕は一人ぼっち。何か変わった気分はない――――けれどもう僕はアイツらの創り上げた人間じゃない。


 「……どこへ行けばいいんだっけ?」


 こうなって僕は何がしたかったんだ? そもそも僕は死んだ。僕って誰? 何をすればいいんだろう?――――まぁいいか。


 血は薄れて、顔も揺らいで、信念や記憶も褪せていく。苦しみと共にあの人は死んだ。私は私として生きるだけだ。



――あとがき――

読解力と想像力を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ