表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/60

第55話 ブラックホーク

 横田基地で行われた演習は、かなりハードだった。

 大型のハンガーの中に、突入予定の建屋を実寸大模型で組み立てられていた。俺たちは何度も突入訓練を行った。

(段取りと動きを体に馴染ませるのか……。用意周到だな……)

 時間がない中でも準備を怠らない。俺は米軍の強さを垣間見た。


 休憩をとって十六時なった。いよいよ出発だ。米軍特殊部隊シールズの隊長が指示を出す。

「行くぞ!」

 俺たちは横田基地の滑走路に並ぶヘリに乗り込む。

(スゴいな! ブラックホークだ!)

 映画で見たのと同じヘリに乗り空を飛ぶ。俺はちょっと興奮してしまった。

 編隊を組んだヘリは横田基地からH市を目指す。ブラックホークの周囲には、陸上自衛隊のヘリが飛んでいる。エスコート役なのだろう。

 陸上自衛隊のヘリに乗っている自衛隊員から、俺たちに向かって敬礼が送られる。俺は頭を下げて敬礼に応じた。

 敬礼を見て犬獣人のモーリーが不思議そうに質問してくる。

「ねえねえ! あれはなあに?」

「あれはこの世界での敬礼だよ。俺たちが戦いに行くから『頑張れ!』って応援してくれているんだ」

「へえ~! そうなんだ~! オーイ! 頑張ってくるよぉ~!」

 犬獣人のモーリーが、ブンブンと手を振る。ヘリの自衛隊員はホッコリしていた。


 空から見るH市は霧のドームに覆われていた。

 常識的に考えれば、魔導具から発生した霧は、空へ上がって周囲に拡散し薄まる。だが、霧の発生装置――魔導具は霧を一つ所にとどめる能力があるのだろう。霧は一カ所に留まっているのだ。


 俺たちを乗せたブラックホークは、H市にほど近い川原に着陸した。川原の横には、いつものSUVが既に移動されていた。

 SUVを移動させたCIAのスタッフからキャンディスさんがキーを受け取る。

「ご苦労様」

 キャンディスさんは、いつも通り落ち着いていた。

 俺が助手席に、レジスタンスのミアさん、モーリー、ガルフが後部座席に座る。キャンディスさんが、後部座席を振り返りモーリーに聞く。

「ねえ。なんでモーリーが真ん中に座るの?」

「真ん中が良いの!」

 モーリーは嬉しそうに答えるが、答えになってない。キャンディスさんは、困惑している。モーリーは体が大きいので、バックミラーが見えづらいのだろう。キャンディスさんとしては、背の低いガルフと入れ替わって欲しいのだろうけど、モーリーは真ん中から移りそうにない。

 たぶん、犬が人とひっつきたがるのと同じなんじゃないだろうか? 真ん中だとミアさんとガルフにひっついていられるから落ち着くとか?

 キャンディスさんとモーリーが何やら問答していたが、キャンディスさんが折れた。

「じゃあ、いつも通りやるわよ!」

「「「「了解!」」」」

 キャンディスさんは、チョコレートバーを俺たちに放り投げ、自分もがぶっとチョコレートバーにかじりついた。

 SUVが走り出す。

 霧に覆われたH市に俺たちは入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★☆★ランキング参加中です!★☆★

クリック応援よろしくお願いします。

小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ