第54話 爆撃の可否
CIAから伝えられた作戦は、複数方向から同時に攻撃する作戦だった。
米軍特殊部隊シールズ、CIAの実働部隊、そして俺とレジスタンスがいるので、こちら側の人数が多い。
(人数の多さを上手く利用しようということか……)
俺は作戦に異存なかった。
米軍特殊部隊シールズの隊長が手を上げて質問をした。質問する相手はCIAのオーウェン長官だ。
「あくまで可能性として聞くのだが……、爆撃するのはダメなのか? 無人機グローバルホークは日本に来ているだろう? グローバルホークでピンポイント爆撃して、エルフも霧の発生装置も……ボン! どうだ?」
CIAのオーウェン長官は、ニヤッと笑った。
「ああ~良いアイデアだな! 今、日本は外出禁止令が出ている。日本人は家にいるから爆撃はしやすい。我々も例の魔石になる粉を浴びないので犠牲者が出ない。最高だな!」
「そうだろう? で、なんで爆撃を選択しないんだ?」
「その辺は政治的配慮ってヤツだ。米軍が日本を爆撃したなんてニュースになってみろ! 日本との同盟関係は終わりだぞ! 東アジアは中国とロシアが入って来てメチャクチャになるだろう。そうなったらアメリカはハワイまで後退だな」
「グアムは?」
「無理だ。維持できん。色々シミュレーションをしたんだよ。その結果、この作戦が一番マシってことさ」
「へえへえ。わかりました!」
CIAのオーウェン長官と米軍特殊部隊シールズの隊長は、笑いながら議論を終えた。
まあ、オーウェン長官の言う通りだ。安全で効率が良いのは爆撃だろうけど、日本で反米感情が火を噴きかねない。アメリカは第二次大戦で東京を空襲しているから、特にお年寄りは反発するだろう。それでも俺は爆撃を支持したい。
「犠牲者が出ないなら爆撃でも良いけどね……」
俺はボソリとつぶやいた。
俺、キャンディスさん、レジスタンスの三人は、エルフがいる倉庫の中に突撃するのだ。突撃しないで済むなら、その方が良い。
「まあ、そうもいかないでしょうね……。お仕事頑張りましょう!」
キャンディスさんが肩をすくめる。そして、そっと指をさした。指をさした先には、高坂議員たち日本政府グループがジッと無言で立っていた。高坂議員と目が合った。高坂議員は、ニコッと笑った。
日本政府関係者がいる手前、やたらなことも言えないか。
「うっし! 頑張ろう!」
「がんばろ~!」
俺の言葉に犬獣人のモーリーが応じた。
「よーし! 突入は1800! これから突入の演習を行う!」
俺たちは突入の演習を行い本番に備えた。
(いよいよだな……)
俺は武者震いをした。