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第39話 魔法の伝授は、二人でヨガ

 俺、ドワーフのガルフ、犬獣人のモーリーの三人でマンションのベランダに出る。俺はバーボンの空き瓶を人に見立てて発勁を披露する。バーボンの瓶に軽く手をあてて、威力を抑えた軽めの発勁を発動した。

「ハッ!」

 俺の体内から押し出された魔力が前方に突き出され、バーボンの瓶にヒビが入る。俺は上手く出来たことにホッとしてふうっと息を吐き出す。

「こんな感じだよ。今は威力をかなり抑えた」

 ドワーフのガルフがヒビの入ったバーボンの瓶を見ながら感心したように何度もうなずく。

「ほ~う! 威力の調整も出来るのか!」

「ああ。感覚的にやってみたけど上手くいったね」

「大した腕だ!」

「ユウマ! 凄いね!」

 犬獣人のモーリーがじゃれついてくるので、わしゃわしゃとモーリーの頭を撫でる。

 背後から拍手が聞こえた。振り向くとダークエルフのミアさんがキャンディスさんと一緒に俺を見ていた。

「ユウマ。見事だな! 無属性魔法を上手に使えているぞ!」

「ありがとうございます。俺は発勁と呼んでいます」

「ハッケイ……。ふむ。接近戦で使える魔法は貴重だ。魔法の発動速度を高める練習をすると良いだろう」

「魔法の発動速度……」

 なるほど。構えて、考えて、発勁を撃つ、ではなく。撃とうと思ったら、すぐに発勁を撃てるようにしておけということか……。確かにタメを作ってから撃つよりも、発動スピードが早いほうが有利だ。空いた時間に練習しておこう。

 キャンディスさんが、トコトコと俺に近づいてきた。

「ユウマ。それ、私も出来るかな?」

「発勁? どうだろう? 先に身体強化を練習した方が良いと思う」

「出発まで教えて!」

「ああ。わかった」

 キャンディスさんもH市に出入りしているのだから、体内に魔力があるはずだ。身体強化魔法が使えれば、戦闘で有利になる。


 こうして俺はキャンディスさんに身体強化魔法と発勁を伝授することになった。

 二人であぐらを組んで体内の魔力を感じたり、魔力を動かしたり、ヨガのように二人で謎のポーズをしてみたりした。ヨガポーズをやろうと言い出したのは、キャンディスさんだ。なんでもホットヨガをやっているらしい。謎のヨガポーズをしながらゆっくり呼吸をして、魔力を感じ取ろうとしているが、なかなか上手く行かないらしい。

 しまいには、俺と二人で組み合うようなヨガのポーズを指定する。かなり恥ずかしいポーズだ。

「ねえ。このポーズ意味あるの?」

「ホットヨガは効果あるのよ。カロリー消費量が多いからダイエットにも良いし」

「そ、そうなんだ」

 二人で手をつないで体を密着し謎のポーズをしている。そして、俺は体内の魔力を循環させ、軽く身体強化をかけている。

「あー、わかる。ユウマの魔力が体越しに伝わる。これが身体強化か……」

「わかるんだ!」

「うん。自分でやっていた時より、この方がわかる。もうちょっとこのポーズで……、魔力の循環を真似してみるから……」

「お、おう」

 いや、でもさっきから、キャンディスさんの恥ずかしい部分が、俺の恥ずかしい部分に当たっていて……。

「ユウマ。そこは強化しなくて良いから」

「ご、ごめん」

 メチャクチャ恥ずかしい。キャンディスさんが、俺の耳元に顔を寄せて来た。

「また、夜にね」

「はい。お願いします」

 キャンディスさんは、無事に身体強化と発勁を覚えた。

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