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第37話 上司の上司

 スマホのスピーカーフォンから聞こえてきたのは、横田基地で話した男性の声だ。

 俺に『私が誰なのかは知らない方が良い』と言っていた。キャンディスさんは、『上司の上司』と言っていた。ということは、CIAでもかなり上位の人なのだろう。

 俺はスピーカーフォン越しに会話をすすめる。

「昨日はどうも。お酒や料理が美味しかったです。ご馳走様です」

「日本人は礼儀正しくて良いね! 喜んでもらえて嬉しいよ! それで色々と話があるんだけどね。H市にいる在日アメリカ人の脱出作戦を明日決行する予定だ。ユウマ君の参加はどうかな?」

「ええ。大丈夫です」

「ありがとう! 心強いよ!」

 上司の上司さんは、機嫌の良さそうな返事をする。俺はレジスタンスの三人が到着したことを伝える。

「大事なことをお伝えします。レジスタンスの三人が今朝やって来ました。今、この会話を聞いています」

「なに! 本当か! それならレジスタンスの三人と会って話がしたい。アメリカ政府は、レジスタンスと協力する用意がある。それに脱出作戦にも参加して欲しい」

 俺はチラリと、レジスタンスのリーダーであるダークエルフのミアさんを見た。レジスタンスには、レジスタンスの都合があるだろう。俺が勝手に回答するのは不味い。

「レジスタンスの三人に伝えます。後でレジスタンスからの回答をお伝えします」

「ああ。頼んだよ! それから、日本政府とは国務長官が交渉中だ」

 話が変わった。アメリカ政府と日本政府の話だ。これは内部情報で漏らして良い話ではないだろう。

「話して良いんですか?」

「君も当事者だ。知っておくべきだろう。国務長官は日本政府に対して色々目をつぶれ、見て見ない振りをしろと交渉している」

「つまり戦闘になっても日本政府からのお咎めなしにしようと?」

「そうだ。なにせ日本の主権に関わることだからな。我々合衆国としても、日本政府を尊重しないと」

 よく言う。アメリカ得意のゴリ押しだろうな。だが、今回の場合は、俺にとってありがたい。戦闘になれば、銃の所持だの、暴行だの、殺人だの、日本の法律に引っかかることばかりだ。日本政府が目をつぶってくれるならありがたい。

 上司の上司さんは、声を落とした。

「だが、良いことばかりじゃない。不味い状況になっても日本政府は助けてくれないということだ」

 見て見ぬ振り……つまり何かトラブルが発生しても、日本政府は知らないのだから助けようがないだろうということか。

「わかりました。脱出作戦はアメリカ軍が主体ですか?」

「ああ。特殊部隊が横田基地に到着している。彼らとの共同作戦だ。CIAからも実働部隊が出るし、住民の輸送は厚木の陸軍が担う」

「大規模な作戦になりそうですね。俺やレジスタンスは、住民の護衛を?」

「そうだ。詳細は今日の打ち合わせで決めるが、横田基地に来られるかな?」

「私は大丈夫です。レジスタンスにも聞いてみます」

「じゃ、頼むよ! キャンディス! 任せたぞ!」

「承知しました」

 通話は切れた。

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