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第11話 敵に向かう

「オイ! ちょっと待って!」

 俺はレジスタンスの三人を追いかけた。

 ダークエルフのミア、ドワーフのガルフ、犬獣人のモーリーは、侵略してきたエルフたちを倒すと言って部屋を飛び出したのだ。


 エルフの先行偵察部隊は、人を魔石に変える粉を持っている。粉を吸い込んだらアウト。粉が体に触れてもアウトだ。即魔石になりお陀仏。リスクが高すぎる。

(隠れてやり過ごし、政府の対応を待つ方が良いんじゃないか?)

 機動隊が数を揃えて対応するとか、警察の特殊部隊とか、自衛隊の精鋭部隊とか、詳しいことは知らないけれど、政府には強い連中がいるはずだ。警察や自衛隊の精鋭が動けば……。

 俺はそんな風に考えていた。


 だが、レジスタンスの三人は戦うつもりだ。俺はマンションの外で三人に追いついた。

 犬獣人のモーリーが地面に腹ばいになり、耳を地面に当てている。三人のリーダーであるダークエルフのミアさんが、かがんでモーリーに小声で聞く。

「モーリー。どうだ?」

「いるよ! こっちだ!」

 モーリーが先行して歩き出す。足音を殺しているが早足だ。三人とも足音を立てない。俺も三人に習って移動速度を上げながらも足音を立てないように気を遣って歩いた。

「ミアさん! 大丈夫なんですか?」

「リスクはあるが、勝算は十分にある。君も来るのか? 一緒に来るのなら戦闘の様子をあの動く絵で記録して欲しい」

「スマホで動画に撮って欲しいのか?」

「そうだ。エルフとの戦闘方法を、この世界の人々に知ってもらいたい。戦う術がなければ、魔石になるだけだからな。先ほどと同じように動画というもので、エルフとの戦い方を君の同族に伝えてくれ」

「……」

 俺はブルリと震えて無言になった。

 また、あいつらと関わるのか……。コンビニで人が魔石に変わった光景、機動隊がなすすべなく魔石に変えられた光景が頭をよぎる。

 だが、俺の気持ちなどお構いなしに、ミアさんたち三人はヒタヒタと歩き続ける。


 確かにミアさんの言う通り、エルフとの戦闘方法は知っておくべきだ。もし機動隊がエルフとの戦闘方法を知っていれば、全滅はしなかっただろう。

 ミアさんが『動画撮影をしろ』、『拡散しろ』というのはもっともだ。やらなきゃな……。


 俺は必死に恐怖を抑えながらミアさんに小声で返事をした。

「俺は戦闘で役に立たないぞ……」

「ああ、いざとなったら逃げてくれ。だが、エルフとの戦闘方法は広めてくれ」

「わかった!」

 ミアさんは覚悟を決めたキリッとした顔をして前を向く。目元は険しい。ミアさんの表情から、かなり危険であること、死ぬ可能性があることを、否応なく俺は理解させられた。

 正義の味方が悪いヤツらをバッタバッタと倒す――何てわけにはいかないのだ。


 三人は大通りを左へ曲がりショッピングセンターの方へ向かった。

 俺はスマートフォンの動画をオンにして、移動しながら撮影を始めた。

「これからエルフの先行偵察部隊と戦います。こちらはレジスタンスの三人です。私は撮影係として同行しています。正直、怖いです。泣きそうです。けど、エルフとの戦闘方法がわかれば、犠牲者を減らせると思うので頑張って撮影します」


 ショッピングセンターの脇を通り抜け、裏にある公園に向かう。

 犬獣人のモーリーがハンドサインを送り、ミアさん、ドワーフのガルフが足を止めた。

「ここで戦う。ユウマは、どこか安全な所にいてくれ」

「わかった」

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