検問
74話 検問
あ、パトカーが。横を通った。
事故でもあったのかな。
前の方に人が。お巡りさんも見える。
並んだクルマにお巡りさんが話しかけてるのが見える。
「まずいなジイさん。検問やってるみたいだよ」
「べつにいいじゃない。悪いコトしてないでしょあんたたち」
「実はジイさん、無免許なんだよ」
「えーそうなの、よくいままで……」
「あ、大丈夫だよ二口さん。わしは催眠術が使えるからな問題ないよ」
「そうなの」
前のクルマが一台ずつ、横の道路へ。
お巡りさんがなんだかドライバーに話しかけてる。
大丈夫とは、言うけどなんか順番が近づいてきてドキドキする。
前のクルマのドライバーと話終えて大柄なお巡りさんがこっちに来る。
「すみません、運転免許証を……」
わぁ怖い顔のお巡りさんだ。
ホントだ、不細工だし。
「なにかあったのかな?」
「まあ、ちょっとした違反者が逃げてましてね」
「そう、まってね免許証、取りにくいとこに……」
お爺さんは頭を回し後ろの目でお巡りさんを見た。
催眠術は後ろの目でかけるのね。
「あ、ナニ。君たち旅行?」
催眠術にかかったのかしら?
「爺さんやめろよ。俺には術は効かないよ。揃いも揃って、みんな妖怪じゃないのか……」
え、このお巡りさん何者?
術が効かないって。
「妖怪だろ、あんたら?」
「ええ、そうよお巡りさん。あんたはナニ?」
と、後ろの席から静ちゃんが。
「大きな声では言えないが、オレも妖怪なんだお嬢さん。俺は『青坊主』だ」
とクルマの中を覗き込み言うと、頭をクルマから出し。
「気をつけてな、お嬢さんたち。ハイ、行ってよし!」
その声と同時にお爺さんは、クルマを動かした。そして、お巡りさんに手を軽く上げて。
「ご苦労さま!」
走り出して。
「ときたま警官の中にも居るんだよ妖怪が。青坊主とか、言ってたな。妖気など微塵も感じなかったな」
「ホント、都会派ね。あの青坊主」
「さて、目的の石巻山まですぐだ」
「石巻山に登るんなら、あの先のコンビニでお弁当とおやつ買っていこう。いいよね」
つづく




