表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/100

妖異女三十六景

7話 妖異女三十六景


「ほぉ~やはりなまは、ええなぁ〜」


「あの映画のおねえちゃんは、ケバくていかん。わしが美術監督したのに、あそこだけは別人だ」


「あのぉ〜ホントにコレでいいのかなぁ後ろの口が丸見えじゃない」


「いいんじゃよ。今回の作品は『妖異女三十六景』と言ってな妖怪の美女画集なんじゃ」


「で、裸なのは意味あるの? あたしは裸で後ろの口開けて食べる習慣ないわよ」


 舌に墨を付けてて返事がない。

 このエロジジィ。


 ススッスーと、舌であたしの裸体を描いてるのが見えた。

 描き終えると水を含み洗って。


「おまえさんの知り合いでも美女妖怪おるじゃろ。紹介してくれないかのう。礼は出す」


「まあいないこともないけど……前金でくれる?」

「かまわんよ」


 ホントに、このジィさん気前がいいようだ。


 サラサラと一枚墨で描き終えると、アヤを呼んだ。


「ジィさん、色は?」


「色はあとで塗る。モデルはいらない」


 なるほど、楽でイイや。


「お願いしま〜す」


 あたしと入れ替わりにアヤがジジィの前に。


「あ、ソレは脱いで……二面女だったね。ちょこっとななめ上見て」


「あの……後ろの顔も描くんですか?」


「そうじゃよ」


「ああ、聞いてないぞ、アカナメジジィ」 


「言っとくが、わしは赤名めじろだ。アカナメじゃないし。妖怪でもない」


「描くんなら、私もメイクしろ!」



「おーい醜女、メイクしたって変わんないよあんたは」


「黙れ、底なし。私のメイクした顔見たろ!」


「あんたら、仲いいのかね……」


「まあそこそこです」


「後ろの顔さんよ。自然のままが、いいんじゃよ。あんたの顔は魅力的じゃ」


「そ、そうなのか……」


「さっき、妖怪五十なんとかと言っていたけど、裸で描く意味あるの?」


「あるよ。『妖異女三十六景』じゃよ。魅力は顔だけじゃない身体もじゃ」


 と、アヤには答えた。

 ようするに裸が見たいだけじゃないのか。


 妖怪では、ないというが。


 あのジジィ。あたしが知ってるエロ妖怪の中にも居ないスケベジジィに感じる。

 目がイヤらしい。


「彩ちゃん、脱ぐとスゴイね」


 ジャージをかたにかけた飛縁魔ひづるは腰に赤襦袢を巻いてる。


「まだ妖怪モデルが来ると聞いたけど……あのバイトかな、違うか。今回は妖怪画なんだよな。あいつは人間だ。聞いてる静?」


「いや、聞いてない」



「寝坊しちゃたわ。昼間の仕事は、なれてないからね」


 アトリエにローブ姿で現れたのは。


「ろくろ首の姐さん!」


「あら、静ちゃん。お久しぶり」



「あ、来てたんだ。ひづる……ん、静じゃない。お久ぁ〜」


 ろくろ首姐さんのあとから来たのは。


「出不精の姉さんまで」


「なんかさぁ一時間くらいで、一回でいいって聞いたしぃ。コレがイイんで来ちゃたよ。終わったら、ウチ来ない、冷凍でたこ焼き沢山あるからタコパしよう」


 と、飛縁魔みずちは指で円を作り言った。


「飛縁魔さ〜ん。メイクまだだから戻ってェ」


 もしかしたら、ココに日本中の女妖怪が集まってくるかも。

 まあババァ妖怪は、来ないと思うけど。


               つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ