公園のベンチのオバさん
51話 公園のベンチのオバさん
「夜道を歩いてると、カッパに襲われるコトがあるんだよ。とくにココ九州は日本一カッパが多からね」
ベンチでパンを食べていたオバさんに持ってた水筒の水をくれないかと言われて、オバさんが持ってたコップに入れてあげた。
コップはコンビニのコーヒーのヤツだ。
お礼にと、オバさんは、お話をしてくれた。
公園で遊んでた、ぼくたちトオルくんとアキとでオバさんの前に集まりお話を聞いた。
すると、公園の知らない子たちもやって来て。オバさんのベンチをかこんだ。
お話は海や山に出る妖怪話だ。
アニメとかに出る妖怪とはまた違って怖い話や面白い話がでた。
オバさんは話し上手で、みな最後まで聞いてしまう。
「オバさん、カッパなんて居ないよ。ママが言ってた」
「ウチのママも」
「そりゃカッパたちは人間のフリをして生活してるからわからないんだ。もしかしたらあんたのお父さんやお母さんはカッパで、あんたはカッパの子かもよ」
「違うよ、ボク頭に皿もないし、ホラ手に水かきもない」
「わからないよ、まだ子供だから……」
「アキの髪型はカッパみたいだ。アキの親はカッパか?」
「違うわよ!」
「違うよ、その子は。もし、カッパなら私カッパよってかっこうしないだろ。髪型もね」
「そうか……」
「で、ある時期、やたらカッパが現れて悪さをしてね。みんな困ってたんだ」
「カッパってどんな悪さするの?」
「人の尻子玉を取って食うんだ」
「尻子玉ってナニ?」
「肛門の中にある玉だよ。ソレはカッパにしか、わからないんだよ」
「取られるとどうなるの?」
「川の中なら溺れて死んでしまうし。陸ならふぬけになりパ〜になるんだよ」
「パ〜になっちゃうの……やだなー」
「カッパ怖いねぇシンちゃん」
「ある夜、カッパが出ると言われてる土手を娘が歩いてたら……」
「出たのね。カッパ」
「足をとられた娘は、ころんでしまい。カッパがスカートめくった」
「エッチ!」
「カッパは、尻子玉をねらったんだねオバさん?」
「そうだよ。カッパがパンツに手をかけおろそうとしたとき、その腕を娘が掴んで握りつぶしたんだ!」
「すご~いにぎりつぶしたの」
「実は娘の正体はカッパハンターだったんだ」
「カッパハンターカッコイイ!」
「娘はカッパ被害になやむ町の人にやとわれて、自分がおとりになったんだ」
「カッパってヤダねぇマミちゃん」
「しかしな、カッパってーのは悪い奴ばかりじゃない。人間でも、人殺しやドロボウがいるのと同じさ。当然良いカッパもいるんだよ」
「どんな生き物も悪いのと良いのがいるんだよね。オバさん」
「実は、私はカッパなんだよ。コラ、子どもたち尻子玉よこせ!」
「うわぁー」
つづく




