網切ヒッチハイクを乗せる
42話 網切ヒッチハイクを乗せる
あーあ。静さんたち来なかったなぁ予定より一日多く滞在したんだけど。
鳥取。
仕方がないから帰る事に。
でも、せっかくここまで来たんだし。
岡山まわって、広島へ行こうかな。
あの映画の聖地尾道に行きたいし。
岡山目指してクルマを走らせてると、ヒッチハイクしている女のコが見えた。
二人。
あの二人は九州へ向かうと、あれは。
静さんたち。
あ、いや違うは、もっと若いコたちだ。
多分なんちゃって女子高生だろう。制服系ブレザーにチェック柄のスカート姿の娘と薄着のワンピースで頭にネコ耳!
なんなのあの二人?
「何処まで行くの乗っていいわよ」
「やったーありがとうおねえさん。九州へ行くんだけど」
「広島の尾道までだけどイイ」
「いいですよ!」
二人を乗せた。九州か、静さんたちと一緒ね。
少し話し相手になりそう。
「あなたたち、ずいぶん薄着だけど寒くないの? 学生かしら」
「見えます、ならそう見てください」
「え……。そっちのネコちゃんは、どう見ても中学生か……もっと……」
「違うニャ。あたし、こう見えてもこっちのなんちゃってより、年上なの」
「へえー。驚くほど若く見えるわね。何処から来たの?」
「東京から」
「東京かぁ。九州って言ってたよね。目的とかあるのかな?」
「静ちゃんに会いに行くんだニャ」
「ネコ、名前だしたってわからないだろ」
「え、静ちゃんって……」
「わからないよね。あたしたちの姉御で、ヒッチハイクの先輩でもある人なの」
「ヒッチハイク……。あの、それはモデルの静ちゃん。草双紙……」
「え、静の姐さん。知ってるの?!」
「姐さん……って、あなたたちは彼女とどういう……」
「静ちゃんとは、東京で知り合ったニャ……たよりになるおねえちゃんだニャ」
「あたしがピンチなとき助けられたんだ」
「あの人……そういうキャラなの? 私が知ってる静ちゃんは食いしん坊で、妖怪研究家なの」
「妖怪研究家? ただ、知り合いなだけだニャ。研究なんてしてないニャ」
「食いしん坊は間違ってない」
妖怪と知り合いって、そう言えば、一反姐さんとかと仲が良さそうだったし。
「あなたたちも妖怪と知り合いなの」
「何匹か知ってるニャ」
「ネコ、そういうコトは、あまり人にしゃべるなって」
「誰が? ウチのかぁちゃんも知ってるニャ」
え、あの子の母親も。この子たち何者なの。
もしかして、まさか。
あの耳はコスプレよりリアルな感じだけど本物のなら、妖怪?
つづく




