ヘビヅカヤのファン
39話 ヘビヅカヤのファン
静ちゃんが、憧れのヒトにあえて興奮してる感じのメイドの妖怪娘に握手をしてあげると。
「わたしは海女族の能美静といいます。同じ名前です」
「そうなの。ハハハ。あんたでふたり目よ。シズカに会ったのは。けっこうドコにでもある名なのかなぁ」
「わたし、まえはノミコと名乗ってました」
「能美ノミコ?」
「いえ、タダのノミコです。海女のわたしは蛇塚姐さんの紹介で、このホテルのメイドに。その時に人間の名前をと蛇塚姐さんに言われて。能美の出身なので姓を能美と名は静さんから勝手にいただきました。すみません」
「べつに静は私だけじゃないし。スゴいなぁあんたは。あたしらは自分で名をつけられずに文車妖妃っていう頭のいい妖怪につけてもらったんだから。草双紙なんておかしな姓を……あまり気に入ってないんだ」
そうなんだ、草双紙って三文字姓には、憧れるんだけどわたしは。
そうなのか、まあいいかもなアヤカシアヤってーのよりわ。
しかし、綾はおまえで彩が、私なのかい。
わたしは彩がわたしで綾があなたと。
まあどっちでもいいか。
文車妖妃の奴、意外と適当につけたもかもな。
「ノミコ……蚤っていうわりに大きいよね。あたしより背が高い」
「そのノミの発音はやめてください。ノミコの頃によく同じことを言われました」
「ゴメン。あたしなんか二口と知られてた少女の頃にいつもニ人前食べさせられて胃がおおきくなってさ最近じゃニ人前なんてもんじゃなく食べれる。でも、あんたの身長ならモデルの仕事もできるんじゃない。顔も美人だし」
「そんなコト言われたの初めてです。わたしは大担坊の仲間でもありますけど、そのわりに小さくて……」
海女と大胆坊の。まあ人間でも彼女くらいのモデルさんとか沢山いるしなぁ。
まあ『高女』ほどでもないし。けらけら女みたいデカくもない。
モデル向きかも。寝肥さんとこに紹介してあげてもいい娘よね。
「あ、長々としゃべってしまったわ。すみません。あのあとでサインください」
と、頭をさげると。シーツや布団の入ったワゴンを押して通路の奥へ。
「あ、ノミちゃん。お風呂ドコ?」
「この通路を奥に右に曲がった所にあります」
つづく




