二人に再会
31話 二人に再会
昼間、四国を歩いてるとお遍路さんにあう。
人間は歩いて四国の霊場を周り歩くのだと。
その理由は人それぞれだと、話してわかった。
ただ、歩いてるとお遍路さんに、間違われる。でも静ちゃんは否定しない。
人によってはナニかくれるからだ。
ミカンやお菓子等、やはり食べ物をくれるのは、ありがたい。
「キミたち、何処へ行くの? お遍路には見えないけど……」
朝、歩き始めて最初に停まったのは、お馴染みチャラそうな二人が乗ったクルマだ。
「どこまで乗せてくれるの?」
「ボクたち、クルマで八十八ヶ所巡りしてるんだ」
「クルマで……それでご利益あるの?」
「さあ? 終わってみなきゃわからないけど……キミたちみたいな美人の道連れもいいかなって」
ナニかしら。この人たち、お遍路ナンパ師。
「あたしら、とりあえず室戸まで行きたいんだけど」
「いいよ、乗りなよ」
運転席のおにいさんは、一見まじめな感じだけど、どこかチャラそう。
隣の坊主頭は寝ている。
「静ちゃん。タヌキ?」
「臭わなよ……人間だよ、チャラい」
「四国へは旅行?」
「目的地は九州。四国は寄り道かな」
「ヒッチハイクしてたよね……で、キミたちは何処から来たの?」
「関東から」
「ボクらも東京からきたんだ」
「あー。おい、誰と話してんだ」
「やっとおきたか。おまえが寝てて退屈だったから道連れをひろった」
「道連れ?」
「おじゃましてま〜す」
「女かよ、オレというものが……」
「べつにそんなんじゃないよ。あ、実はボクたちゲイなんだ」
ゲイなのか、ナンパじゃないのね。
「アヤ、ゲイだって……。はじめて見た」
「でも、昔からそういう人は居たよ」
「おい、あんた。人を珍獣みたいに……」
「ごめんなさい、聞こえちゃた?」
それから、約3時間。世間話をしていたら室戸についた。
ドライバーさんに岬は行くかと言われたが、「興味ない」と即答の静ちゃん。
もうすぐお昼だから、お腹すいたようだ。
室戸駅まえで降ろしてもらい。
静ちゃん、電話を。
「金沢さんたち、先に着いてお茶してたんだって」
十分もしないでクルマが来た。
「どうだったヒッチハイク?」
「まあそれなりに……。お昼食べたい」
わたしたちは市街にある食堂で、お昼を食べながら取材を受けた。
「ゲイのクルマで乗ってきたのか。よくその人、ゲイだと話したね。日本人は、あまりいいたがらないって、あたしの友だちが。その友だちニューヨークへ留学にいってさ、好きになった男がみんなゲイだとなげいてたわ」
「へえーアメリカって、そんなに……」
「ナンパ目的で乗せたと思われたくなかったのかもね、ドライバーさん。チャラそうだったから……で、言ったんじゃないかしら」
「そうなの……チャラいゲイもいるんだな」
「それはいるでしょシズカ」
まあ、言えないけどいろんな妖怪にも出会うけど、いろんな人間にも出会う。
わたしはいいけど、やっぱり遠野にじーっとしてるより静ちゃんは、楽しいんだろう。
「男か……かれこれ五年以上いないかなぁ」
「そう、シズカは。私は十年いないわよ」
「そうだっけ。金沢さん、十年前っていくつ?」
「私の最後の恋愛は……おっと歳ばれるわ」
「そんなの気にしない気にしない金沢さん。あたしの最後の男は売れない漫画家だったの。名前は言わないけど。いまでもエロ漫画描いて食いつないでる。絵は悪くなかったんだけどね……あ、静は男いるの? モテそうだもんね。まえに聞いたっけ?」
そうだなぁ。江戸時代の末期に結婚してから、正体バレて。それから男とは付き合ってないなぁ。
が、コレは言えない。
「実は若い頃結婚してさ、すぐに別れた。その後はひとりで気ままに」
「え、静ちゃんは結婚してたの。驚いたわ。まさか、子供とかは……」
「子供なんていませんよ金沢さん」
「やるな静、その別れた男とはなんで?」
「いい男だったけど、悪いクセがあってね」
「ソレはお前だろ」
「黙れ醜女。あ、でさ。もう死んでんじゃないかな……」
あれは人間だったから、もうとっくに死んでるな。
「死んでるって、病気だったのか?」
「あ、まあぁもう永くないからって遊びまくって」
「それじゃ……可哀そうだったわね旦那さん……」
「そんな、たまじゃなかったからアハハハ……」
「アヤも、いないの男」
「いません。お友だちは沢山いたけど恋人とよべるヒトは……」
「アヤって、もしかして処女?」
「やめなさい、シズカ。男の話しは、おしまい。静ちゃんたちは、コレからどうするの? ルート的には高知へ行って。それから愛媛に入り……」
「そうね……高知へは行くとして……下関に行くかどうかね」
「静ちゃんは、フグが食べたいのよね」
「静ちゃん、今のは……わたしじゃ」
「わかるよ、アヤ」
「フグか……静。うん、あたしも食べたい!」
「それじゃとりあえず松山目指したら」
つづく




