京都に行こう
21話 京都に行こう
大阪を出て、ヒッチハイク再開。
「アヤ、京都へ行こう」
「京都……。網切さんの行った鳥取は、どうするの」「ああ、あっちはべつに待ち合わせしたわけじゃないから。コチラのペースで」
「そうか、じゃ京都へ。妖怪というか魑魅魍魎の宝庫よね、京都って」
「古いなぁアヤは。今は鬼も居ないって」
「鬼が居たらスゴイと思うけど……。京都の鬼は東京の鬼娘みたいな可愛い鬼とは違うと。まあ鬼は居なくても付喪神が多そう。今でも彼らが夜中、百鬼夜行まがいなことしてると一反姐さんが言ってたよ」
「たしかに東京に比べれば古い都だからね京都は。ねぇアヤ。アキバで会った。大きな犬を連れた中坊を憶えてる?」
「ええ、修学旅行の中学生よね。犬連れて。あの犬は犬神だったわよね。犬神が人にロープでつながれてて驚いたけど……」
「あいつら、京都に来たら家に来い。みたいなコト言ってたでしょ。ちょっと顔だしてみない。ナニか面白いコトあるかも」
「それは、いいんだけど。あの中学生たちの家とか知らないよ」
「大丈夫だよ、犬神を仕ってる人間よ。ヘビヅカヤにでも聞けば、すぐにわかるわよ」
パッパラー
あ、クルマがわたしたちの横に停った。
静ちゃんの西へのボール紙を首からかけてるのを見たのね。。
「西って、何処へ行く?」
サングラスをかけたおにいさん。
クルマは青い軽ワゴンっていうやつだ。
この手のクルマよく見かける。
コレ、網切さんのと同型かしら。
「とりあえず、京都に行こうかと」
「京都なら、乗せてあげるよドコに行くの?」
静ちゃんは、ちょっと考えて。
「あなた京都、詳しい?」
「地元だからね。まあだいたいは」
「ホテルでヘビヅカヤって知ってる」
「ああ全国チェーンのホテルだろ。何処にでもある。知ってるよ。京都駅前にあるのでいい?」
「駅前の他にもあるの?」
そういえば東京都内に沢山あったから、京都にいくつもあってもおかしくない。
「琵琶湖近くにもう一軒あるよ。どっち?」
「琵琶湖って、京都なの」
「いや、違うよ。京都で琵琶湖に一番近いトコにあるんだよ」
「古いのはどっち?」
「琵琶湖の方が古いんだ。駅前は最近出来たんだよ。昔ね、琵琶湖の方に大きな宿屋があってそれをヘビヅカヤが受継いで、今のホテルに。最近建て替えたから建物は新しいよ」
「ねぇ、アヤ。大阪の別館って、もしかして……あの前に新しいホテル建てたんじゃない」
「かも……」
「京都もそーゆーのかしら」
わたしたちは古い情報も知りたくて琵琶湖近辺の方を選んだ。
車中。
「ウチも近いんで都合がいいよ。まああそこは……。悪気はないけど、聞いていいかな。君たちは、人ではないよね」
つづく




