編集娘コンビとの再会
10話 編集娘コンビとの再会
「ゴメン! スケジュールがどうしても、うまくあわなくて」
金沢、天野の雑誌編集コンビに再会。
都内の某カフェで。
会うなり天野志子華が。
「あなたが、先走ってあーだこーだと話ちゃうからよ」
「頭あげてよ。べつにかまわないから。もともと、予定にない話なんだからシズカぁ」
「まあ、完全にポシャったわけじゃないんだ。出来れば、後から追っかけるからさ、ね。金沢さん」
「大丈夫かなぁ。静、あまり期待しないでね」
「大丈夫、大丈夫。問題ないから。来るなら、ちゃんと仕事、終わらせてね」
「いや、静。仕事にする。遊びで行くと、経費でおとせないから」
「はいはい。じゃ期待して待ってるね。ところで、髪の色、スゴイ色に変えたね。はじめ、金沢さんとお婆ちゃんかと……」
「あんたも、言うか。コレは白髪じゃなくて銀髪ね。ルージュの白に合わせたんじゃないよ」
「シズカねぇ最近白髪増えたねって言われててさ、ならって銀髪に染めたのよ。そしたらお婆ちゃんみたいになっちゃて。でも、本人は気に入ってるのよね」
「白じゃないんだ。あたいを銀狼と呼んでくれてもいいわよ」
「なるほど、白い毛玉のピアスもカワイイね」
「コレも銀色なんだけど……。あんたたちは、相変わらずナチュラルメイクで、つまんないよな。アヤちゃんなんか、髪が多いから、バサッと切っちゃえば」
「わたしショートは、それなりの……難があって出来ないの」
「もしかしてでっかいハゲとか、あんの?」
「ハゲとは、なんだ!」
「いや、そんなのないよ」
裏アヤ、こんなトコで、声出しちゃダメよ。
だって。ハゲとか言うから。
「シズカ、そんなコト言っちゃ。彼女にも、ふれられたくないキズがあるのよ」
なにそれ、金沢さん。わたしにハゲがあると。
「あのねアヤは昔、ショートにしたんだ。そしたらむちゃくちゃ似合わなくて周囲に笑われて、それ以来ロングに。ハゲ隠してんじゃなくて……。もっと醜いのが……テッ! 何よ、叩かなくても」
「ゴメン静ちゃん。わたしじゃ……」
「わかってるわ醜女でしょ」
「アヤでも、キズにふれられると、怒るんだアタッ!」
「いい加減そのネタから離れなさいよ」
「金沢さんがパワハラした……」
「最近、パワハラって多くない?」
「ジョークだから……」
「笑えないジョークね」
「いや、ふたりとも笑ってるから……」
「あ、ジョークじゃなくて。シズカの頭がズレたから、それウィグなんだ」
「バレたわ。金沢さんが叩くから……」
「そんな安物じゃ誰にもバレバレよ。ね」
いや、あたしは染めたと。
二人と別れて四谷のヘビヅカヤへ戻った。
今回は「ウワバミの間」。
なぜか、少しお酒くさい。前の客が呑んでたのか、にしてもまだ臭う。
「オロチの間」の飛縁魔ひづるさんをお風呂に誘おうと行くと居なかった。
大浴場に行く途中の娯楽の間でピンポンをしてるのは、ひづるさんと蛇骨婆の娘さんだ。
「アレ、まえに来たときはなかったよねコレ」
「あ、静ちゃんたち。やっと入ったんだ。やっぱ、旅館とかではコレが、ないとねぇ。私が、リクエストして、ついに入れて、くれたんだ」
「けっこうあったんですよ。入れてくれという要望が、でも皆さんは無料宿泊だからとお母さんは……」
「私が、蛇骨の婆さんをようやく落として入ったんだ。静たちもやる?」
「いいよ、あたし球技苦手なの。そうだ、蛇骨姐さん、天然温泉があるのは伊東だっけ、熱海だっけ?」
「熱海です。あれ、伊東にも作ったと……」
「そう、行かれたら、どちらも行ってみるよ」
「静たち、もう行くの」
「思ったより、赤名のエロジジィからもらったからね」
「あの爺さん金払いだけはいいからなぁ」
「草双紙さんたちは明日お立ちで」
「ええ、毎度ヘビヅカヤには、助けられてるよ姐さん。じゃあたしらお風呂行くから」
「静ちゃん、私もあとから行くから!」
「“ちゃん”は、やめて〜ひづるちゃ〜ん」
二口、少し性格変わったか?
「今の醜女だよね」
「そう。最近ひとの声色使うの上手くなったのよ」
「わたしゃ昔から上手いのさ。男だって『不二子ちゃ〜ん』」
「クリカン?」
「山田だよ!」
つづく




