練習試合前
「やばい…やばいめっちゃ緊張する!」
ユイの声がヘッドホン越しに響く。ちゃんとした試合は俺とリュウ以外は初めてらしく3人とも緊張しているようだった。
「あー…あー…ミスりませんようにミスりませんように」
特にユイは緊張しているらしく神頼みを始めているようだった。
そこにピロンという機械音と共にサエ先生が通話に入ってくる。
「おうお疲れさんお前ら」
「サエ先生お疲れ様です」
「対戦相手の川桐高校の要望で今回の練習試合を配信したいらしいけど問題ある奴いるか?」
「私は特にないかなぁー。みんなも大丈夫?」
配信する理由は視聴者数を稼ぎたいからという理由ではなく後に誰でも見返せて、反省点を共有しやすいためだろう。川桐高校は平均のランクもプラチナあることもあり向上心が高いようだった。
「配信されるのさらに緊張するなぁ~」
「んなもん気にすんな。カッコつけずにいつも通りの動きをすればいい」
「でももしミスって全世界に配信されるとしたらめっちゃハズイじゃないですか!」
「そんなの誰も気にしないし、そもそもこんな高校の試合誰も見ねぇよ」
「え~そうなのかなぁ~」
「まぁみんな練習通りに動ければきっと勝てるよ!頑張ろうファイトーおーー!」
「しゃーーー!!!!」「「「おー」」」
一名やたらテンションが高いやつは勿論リュウだ。
「聞こえないぞ!アル!」
「おいだるいって。絡んでくるな」
「姉貴がファイト言ってんだぞ!声出せや!」
「出したろ」
「聞こえんかったなぁ?ファイトォーー?!」
「おー」
「声が小さい!」
「だるいだるいだるい」
待ち時間暇だからって絡んでくるな。でも無言で待っているとさらに緊張するため、リュウなりの気遣いなのかもしれない。ウザイけど。
炎天のソラ:こちら準備出来ました。そちらの準備が完了次第ゲームを開始します
ゲーム内でのチャットが飛んでくる。
「みんな大丈夫だよね?それじゃあ行くよ!」
omina :こちら準備大丈夫です!
炎天のソラ:了解です!ゲーム開始します!
西台高校eスポーツ部の命運をかけた試合が今始まる。