パワーユニット
「よし!それじゃあ最終的な構成を決めようか!」
ナオミ先輩が全員集まったタイミングでそう切り出す。
練習試合前日ということもありここ一週間での成果をまとめて最終的な構成を決めたいらしい。
「まぁそんなこと言ったって俺もアルも得意なパワーユニット1つだし、ユイと小早川に至っては一つ以外は全く使えないんで構成の幅はめっちゃ狭そうですけどね」
「べ…別に使えるよ!」
「うるさい自爆野郎」
「うっ…」
図星を突かれたのかユイが黙る。先日の練習で爆弾を使うパワーユニットを使えると言って選んだが爆弾の使い方がおかしく、最終的に自分の真下に爆弾を置き自殺したことについて言っているのだろう。
「お前は色々なパワーユニットに手を出すけど付け焼刃で使いすぎだ。本番で自爆なんてしたらブチ切れるからな」
「…ハーイ」
この二人もお互いの距離感が分かってきたのか軽口を言い合う仲になってきた。
「じゃあまずユイのパワーユニットからだね。ユイのパワーユニットはヘビーナイト。正面に滅茶苦茶固い盾を構えられるからなるべく味方を射線から守って前線を押し上げてもらう。あとは近距離にまで持ち込めればダメージも行動妨害も多いから障害物が多い地形が選ばれたら一人でエリアを守ることも出来るね」
「まぁやっぱそうなりますね」
「実際ヘビーナイトは近距離に行った時のダメージの出し方とかはちゃんと出来てるしな」
「リュウが褒めるなんて珍しいな」
「俺結構褒めてるつもりなんだけどなぁ。なんで暴言ばっか言ってる奴みたいな扱いになってるの?」
「人徳が無いからじゃないですかね」
「おい小童お前にも問題があるの自覚してるか?」
「こんなんだから無いんですよ人徳」
「ハイハイ次行くよー」
軽くポンポンと手を叩きナオミ先輩が次に進む。
「それじゃあ次はハルカかな。ハルカが使うパワーユニットはアンテナ。自動で攻撃してくれるタレットを置けるパワーユニットだね。一応アンテナは設置した距離に応じてダメージが上がったり、相手の移動速度を下げることも出来るけど、初心者で撃ち合い得意じゃないハルカは遠距離でタレット設置してもらって妨害と索敵メインで動いてもらうことになるかな」
「まぁ一応もう一つ別のキャラクターの練習はしてたんだけど…多分実用的なレベルに行ってないと思うからアンテナでいいかな」
「うん、じゃあ次はリュウ君だね。リュウ君が使うパワーユニットはオズヴェル。結構オーソドックスなシューターって感じだけど特殊弾薬のスキルで妨害、索敵、ダメージなんでもこなせるパワーユニットだね。その代わりどのスキルも特化したパワーユニットには劣るから上手く組み合わせたり咄嗟の判断力で色々な動きをしてもらって補っていくことになるかな。」
「うっす任せてください」
「それじゃあアル君だね。アル君のパワーユニットはスサノオだね。ゴリゴリの技術依存度が高い近接ファイターだね。剣と拳の2種類の戦闘スタイルを交互に使うパワーユニットで剣から拳に戦闘スタイルを変える時に剣を地面に差すことによって拳のダメージが上がるフィールドを作ることが出来るね。このフィールド内でアル君が戦えるように周りがサポートすることを意識する必要があるね。」
「お願いします」
俺が使うスサノオは戦闘スタイルを変えないとダメージが出し辛いし、さらに遠距離攻撃に乏しい事もあり、どう近づくかが大事になってくる。つまりスサノオがダメージが出せる環境を味方に作ってもらうのは非常に大事になってくる。
「まぁアル君とリュウ君は二人ともランクが高いからある程度各々判断してもらって構わないよ」
「OKっす」「わかりました」
このチームでのランクの高さの順番は俺>リュウ=ナオミ先輩>ユイ>小早川だ。
全員の動きをゲーム中に言うのは難しいのでランクが高い俺とリュウはある程度合わせて勝手に動いてほしいという意味もあるのだろう。
「そして私だね。私はセイレーンを使おうと思うよ。かなり長い間空中にいることが出来るパワーユニットで高所からの索敵、遠距離攻撃が出来るね。さらに味方の移動速度を上げることができるから、大人数での制圧が得意だね。」
「まぁ4,5人で合わせて2Bエリアコントロールはチームでやる戦術にしては簡単だしなぁ」
「まぁ確かにそうだね。味方の動きを常に見れるし、2B取った後の動きもパターン化しやすいから覚えやすいしね」
「ということは基本的は2B攻めする予定なんですか?」
「まぁそうなるかな5人で2B攻めがこの短い期間で完成させることが出来る戦略だからね。何か別の戦略ある?」
少し考えているとリュウと目が合うリュウも少し考えているようだが概ね異論は無いようだった。
「特にないです」
「おっけーそれじゃあ明日までに練度を上げるために今日はまず各々どう動くかの確認、帰ってから実際に練習しようか」