チーム活動への覚悟
夜、自分の部屋で悩んでいた。内容はもちろん高校でのEスポーツ部の事だ。
「んでどうするんだ」
「うーん」
「まぁ小早川は自分が初心者って言ってたしな」
「うーん」
「お遊びみたいになるかもしれないが」
「うーん」
「でも前みたいに”最悪”になる可能性もある」
「うん…」
「お遊びならまだいい方だろ、俺たちだってある意味お遊びの範疇だしな」
「まぁ”最悪”にならないって分かってるなら前向きになれるんだけど」
俺たちがチーム活動に快諾しないのには理由があった。
それがさっきから言っている”最悪”だ。
以前リュウと一緒にネットで募集してるチームに参加したことがあった。
2人でワクワクしながら入ったチームは元々仲がいい3人組がいてそいつらが酷いやつだった。
まず最初にゲーム中の報告をしない。相手と接敵しても何も言わずに戦い始めるため連携を取ることがとても難しい状況になっていた。
もちろんそのくらいならいいのだが、さらにすぐに俺らのせいにしてきた。彼ら3人組が間違ったポジションに行ったり、勝てない戦いを始めたりした事を指摘したときは毎回お前らが悪いと言われた。おそらくこの3人はいつも一緒にやっているため間違った知識や経験がついてしまっていたのだろう。
戦い始めたら相手がすぐに集結して人数差で負けてしまう場面でも、そいつらがスキルを外したり無駄使いするせいで、俺とリュウが攻撃できなかったり外したりする時も、責任を押し付けて最後にはランクが高くてもこんなバカがいるんだなが彼らの口癖だった。
そんなチームが勿論上手くいくはずもなく1カ月間でリュウがブチギレして抜けたので俺も抜けたのだ。
そんな絶望的初体験を迎えたチーム活動に前向きになれるわけもなく俺とリュウは部活動の参加を保留にしたのだった。
「取りあえずやってみたいって気持ちがあるなら見学だけでもしてみたらどうだ」
「リュウはどうするんだ」
「んーまぁお前次第だよ」
「そっか」
5分ぐらいだろうか。無言の時間が続く、まぁ酷いチームになるのではないかという恐怖はあるがチームとして戦いたいという期待もある。
「ちょっと」
「ん」
「ちょっとだけやってみたい」
「そうかい…じゃあ明日見学でも行ってみるか」
部活に参加するのが確定したわけではないが、少しだけ話が進んだ。